照ノ富士が4場所ぶり9回目の復活優勝。本割で霧島に、優勝決定戦では琴ノ若に横綱相撲で圧勝。琴ノ若は大関昇進へ
◆横綱の歩む道 大相撲には「神事」というほかのスポーツとは違う歴史がある。 横綱は、あの世とこの世の結界であるしめ縄を腰につけて、神を宿らせ、四股を踏んで邪気を追い払う。この伝統の儀式ができるだけの強さと価値のある相撲を、横綱は見せなくてはならない。 元横綱・琴櫻を祖父に、元関脇・琴ノ若(現在の佐渡ヶ嶽親方)を父にもつ琴ノ若は、将来、横綱として土俵入りができるだろうか?霧島も綱をしめられるだろうか?横綱はなるだけでなく、その地位を継続しなくてはならない。横綱の歩む道を見るのは、大相撲ファンの醍醐味でもある。 初日は幕内力士42人が全員出場したが、怪我で休場する力士がいて、千秋楽は36人での戦いとなった。4日目から頚椎症性神経根症で休場している大関・貴景勝は、来場所カド番だが、それを脱して、横綱を目指して欲しい。10勝したものの足の怪我を悪化させて14日目から休場した大関・豊昇龍も、来場所は身体能力を爆発させてもらいたい。 三賞は、殊勲賞を前頭筆頭・若元春が初めて受賞した。若元春は2日目に照ノ富士に勝利し、10勝5敗。早く関脇に戻り、大関を目指して欲しい。琴ノ若は初めて技能賞を獲得した。 敢闘賞を初受賞したのは、出世が早くて髷が結えないまま、照ノ富士、豊昇龍、琴ノ若と対戦して跳ね返された新入幕の前頭15枚目・大の里だ。上位に負けても11勝4敗はお見事だ。
◆「白熊」と改名 照ノ富士に7日目に勝った元大関の前頭4枚目・正代は、それ以降全敗で4勝11敗だが、来場は大勝ちして欲しい。 ところで大の里と同じ二所ノ関部屋の十両の高橋は、今場所から「白熊」と改名して、この四股名から子どもにもファンが増えて、国技館内の拍手も声援も多くなった。白熊は8勝7敗。 二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)が、元大関・北天佑(昭和51年春場所初土俵、平成2年秋場所最終場所)のような相撲を取って欲しいと思い、北天佑のニックネームである「北海の白熊」から四股名をつけたと放送されていた。北天佑は右四つ、投げ、寄り、押しもあった。 驚いたのは、二所ノ関親方の師匠は元横綱・隆の里、自分の四股名は稀勢の里、弟子は大の里なので「里」を四股名に入れるかと思ったら「熊」だったことだ。 「熊」で今後いくなら、ちゃんこの後の食器洗いだけに役立ちそうな「あらい熊」や以前NHKで放送されたミニドラマ『悲熊』(ひぐま)は、可愛いけれど、ドジを繰り返すからやめたほうが良い。