倉本聰が記者に「恥を知りなさい」と怒った理由。Netflix 岡野真紀子プロデューサーに聞く、映像業界の女性20年
2015年にカンヌ国際映画祭で発足以降、あらゆる文化・芸術分野の女性を称える場となっているケリング「ウーマン・イン・モーション」。 【全画像をみる】倉本聰が記者に「恥を知りなさい」と怒った理由。Netflix 岡野真紀子プロデューサーに聞く、映像業界の女性20年 11月に開催された東京国際映画祭でも、トークセッションが執り行われた。 俳優の菊地凛子、磯村勇斗と共に登壇した、Netflixの岡野真紀子プロデューサーに、映像業界における女性をとりまく環境の変化について聞いた。
「女性は期間限定」の存在だった
── 岡野さんと言えば、映像制作会社のテレパックから、放送局のWOWOW、そしてNetflixというキャリアを歩まれてきました。映像業界、中でもドラマ制作の世界に入られてちょうど20年と節目の年です。 岡野:この20年はネット配信の影響もあり、業界がおそらく1番変化している時代ではないかと思います。女性の働く環境も本当に変化しています。 一言で言うと、女性であることを強く意識しなければいけなかった時代から、意識することさえなくなってきた時代に近づいてきている実感があります。 ── どういうことでしょうか? 岡野:まず、私が業界に入った20年前は女性スタッフ自体が少なかったんです。綺麗ごとなく言うと、「女性は期間限定だろうし、今できることを頑張ってね。男性は次のステップを視野に入れて成長していこう」という雰囲気を肌で感じました。 1年目は助監督だったのですが、本当にキツい現場なんですよね。家に帰れないから会社の床で寝て、近くの漫画喫茶で100円シャワーを浴びて会社に戻るような日々。男性の同僚たちと比べたら体力や体調の差もありました。 ですが、私は女性である弱みを見せたくありませんでした。だから、過労でこっそり病院に行くこともありましたし、ホルモンバランスも崩していたと思います。 ── それは厳しい環境ですね……。そうせざるを得ない環境だったということでしょうか。 岡野:誰かに強制されたわけではないんです。弱音を吐きたくない、男性に負けたくないという自分の意志でした。 でも、段々とドラマの視聴者に女性が増えて、「どうしたら女性の視聴者に共感してもらえるんだろう」と制作側も考えるようになってきました。