第93回選抜高校野球 仙台育英、8強一番乗り 14安打猛攻で圧勝 /宮城
<センバツ高校野球> 第93回選抜高校野球大会第6日の25日、仙台育英は2回戦で神戸国際大付(兵庫)を降し、8年ぶりのベスト8進出を今大会一番乗りで決めた。14安打の猛攻で13点を奪い、守っては3投手の継投で相手の反撃をかわした。準々決勝は、28日の第1試合(午前8時半開始予定)で天理(奈良)と対戦する。【面川美栄、宮島麻実】 2、2、3、1……。序盤からスコアボードを得点で埋めて相手チームを圧倒した。 初回に2番・渡辺(3年)と3番・八巻(同)の連続安打で好機をつくり、5番・秋山の適時打で2点を先取。スタンドの野球部員は「よっしゃー」とガッツポーズ。二回にも島貫(同)の二塁打などで2点を奪い、チアリーダーの武藤愛星さん(2年)は「こんなに点が入ると思わなかった」とポンポンを振り回して喜んだ。 火が付いた打線の勢いは、その後も止まらない。三回に遠藤(同)の左中間を破る適時二塁打などで加点。応援する選手の保護者は、初戦に続いて2試合連続で適時打を放った遠藤の母はるみさん(47)に向け、拍手の代わりにメガホンをたたく。山形県から車で約12時間かけて駆けつけたはるみさんは「(晴れ舞台での活躍に)最高です」と感無量の表情。六回にも渡辺の適時打や押し出しなどで4点を奪い、リードを広げた。 好投を続けた先発・松田(3年)に代え、七回から公式戦初登板となる渋谷(2年)を投入。スタンドからは「渋谷君、頑張れ。大丈夫、大丈夫」と声援が飛ぶ。終盤は3番手でマウンドに登った吉野(3年)が相手打線の反撃を断ち、ゲームセット。準々決勝へと駒を進めた。 終わってみれば、「5点前後の勝負になる」という須江監督の試合前の予想を上回る13得点。浅野と渡辺の1、2番コンビが機能し、エンドランなど持ち味の機動力も生かして追加点を重ねた。 上出来の試合内容だったが、日本一を目指す仙台育英にとってはまだ「通過点」。須江監督は快勝にも表情を緩めず、「ここからまた勝負が始まる」と気を引き締めていた。 ◇監督の長男も応援 ○…「勝ってほしい」。三塁側アルプス席の最前列で、仙台育英のユニホームを着て応援したのは須江航監督の長男、明日真(あすま)さん(6)。母絵菜さん(37)と妹恵玲奈ちゃん(3)の3人で甲子園にかけつけた。野球スクールに通っている明日真さんは、普段からグラウンドを訪れて野球部員とキャッチボールをしたり、打撃練習を手伝ってもらったりしているという。育英ナインの活躍に青と黄色のメガホンをたたき、「自分も練習を頑張ってここで野球をやりたい」と目を輝かせた。部員の成長を見守ってきた絵菜さんも「頑張ってきたので精いっぱい力を発揮できるように」とエールを送った。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇堂々の8奪三振 仙台育英 松田隆之介投手(3年) 選ばれた者しか立てない聖地のマウンドは、「良い景色」だったという。2回戦に先発し、6回を被安打3、1失点の好投。初登板で緊張もあったが、打者を三振に打ち取るとスタンドから大きな反応があり、「堂々と投げることができた」と振り返った。 課題の制球力を克服するため、バッティングティーの上にボールを乗せ、10~12メートル離れた位置からボールを投げ当てる独自の練習を編み出した。昨秋の公式戦では4試合に登板しチーム最多の25奪三振。この日も8個の三振を奪った。「コントロールもまとまっていて、大きく荒れなかった。変化球でもストライクが取れて良かった」 中学生までは自宅の近くで、大学で投手をしていた父尚之さん(46)とキャッチボールをするのが日課だった。スタンドで見守った父の前で、須江監督から「90点はあげたい」とほめられる投球を披露し、試合後のインタビューでは「父を超えられたと思う」と満足した様子。母舞子さん(46)も「マウンドに自分の子供が立っているのは特別な感覚」とうれしそうだった。 今後も強豪校との対戦が続くが「いつも通りにやれば、結果は自然とついてくる」。次の登板に向けて、手応えを感じていた。【面川美栄】 ……………………………………………………………………………………………………… ▽2回戦第2試合 神戸国際大付 000010310=5 22310410×=13 仙台育英