バロンドールの確率「まだゼロじゃない」 札幌→欧州→日本代表…逸材22歳の“覚醒前夜”【インタビュー】
プロ4年目を終えた中島大嘉「確率は18歳当時より減った。それは理解している」
今年7月から水戸ホーリーホックに期限付き移籍しているFW中島大嘉が、J2の全日程を終えて北海道コンサドーレ札幌に合流した。プロ4年間で思い描いた結果は残せなかったが、覚醒の兆しを見せた水戸での4か月。そしてバロンドールへの道はまだ諦めていない。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大/全4回の1回目) 【動画】「動き出し完璧」「こんなのできるのか」中島大嘉が裏抜けから決めた技アリゴールの瞬間 「明らかにバロンドールに到達できる確率は18歳当時より減った。それは理解している。ただ、まだゼロにはなっていないんじゃないかなって。うまくいかないなりに色んなものを積み上げてきたし、この1年、半年で積み上げてきたもので、中島大嘉というサッカー選手の形になった。なので、まだあるなって」 2021年に長崎・国見高校から札幌に加入すると、2022年にはルヴァンカップで4ゴール、リーグ戦でも2ゴールの結果。188センチ88キロの恵まれた体格とスピードは日本人離れしており、新星として大きな注目を集めた。また、バロンドールを目標に掲げるなど、スケールの大きなキャラクターも話題を呼んだ。 しかし、昨年6月に出場機会を求めて名古屋グランパスへ期限付き移籍。今季は藤枝MYFCへ育成型期限付き移籍となったが、ベンチにも入れない日々が続いた。転機となったのは、7月に訪れた水戸への期限付き移籍。リーグ戦13試合に出場して4ゴールを記録したが、結果以上に意味のある半年だったと語る。 「良かったと胸を張って言い切ることはできないけど、学びとか気づきはたくさんあったし、そういった意味で充実した4か月を過ごせた。結果云々じゃなく、自分の内側と向き合った時に充実した時間を過ごせた。今までの3年半とこの半年を比べると、プロとしての生活のクオリティーも上がったし、色んなルーティンみたいなものが自分の中で固まった。すごく大きな4か月だった」 怖いもの知らずだった頃に掲げた目標と現在地。「18歳の時に思い描いていたキャリアを歩んでいたら今自分は代表で、ヨーロッパで活躍していた」というが「じゃないからこそ気づけたことはたくさんあるし、この世界線の俺の方が最高到達点で高いとこ行けるんちゃうかなって」とポジティブに捉えている。 新たに描く道筋はこうだ。「来年も爆発して、その次の年、早くて来年の夏にヨーロッパに行って、1、2年でビッグクラブにステップアップ。プレミアとかリーガとかビッグクラブじゃなくても欧州中位ぐらいのクラブに行く。25、6歳でそこで1、2年ぐらい活躍して得点王」。そして2030年は勝負の年になる。 「ワールドカップで日本代表を上まで俺が引っ張っていくことができれば、あるでしょ。サッカーは1試合、1か月、半年、1年で一気に世界が変わるじゃないですか。だから今はJ2にいるけど、全然あるなって。他の人が持っていないものを俺は持っていると思っているので、まだ間に合うんじゃないかなって」 欧州サッカーにも詳しい中島が例に挙げたのは、イングランド1部レスターのFWジェイミー・ヴァーディ。23歳まで工場勤務のアマチュアだったが、プレミア得点王にまで上り詰めた。「そう考えたら急ぐ必要はあるけど、焦って俺はダメだってなる必要はないかなって」。22歳からの逆転をイメージしている。 来季の去就は現時点で未定だが「札幌は好きなので。北海道も街も、コンサドーレのサポーターも、チームもめっちゃ好き。あの人たちの前で活躍したいのはもちろん1番大きくあります」と熱い思いを隠さない。水戸でのきっかけを糧に、北海道から世界へ。未完の大器、中島大嘉の挑戦は始まったばかりだ。
FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo