「5杯飲んで会計したら、8杯分請求された」 客がSNSに投稿、立ち飲み店は防犯カメラ見て否定…「晒す行為」リスクとは?
●名誉毀損罪になる可能性も
では、名誉毀損罪に問われる可能性はあるのでしょうか。冨本弁護士はこうも指摘します。 「名誉毀損罪は、公然と事実を摘示して人の名誉を毀損した場合に成立する犯罪です(刑法230条1項)。 名誉毀損罪の保護法益は、人の社会的評価です。名誉毀損罪の名誉は人に対する社会的評価であり、人の社会的評価を害するおそれのある行為が名誉毀損罪の毀損です。公然とは、不特定または多数人が知り得る状態であり、事実の摘示は人の社会的評価を害するようなものである必要があります。 店を名指しして「5杯飲んで会計したら8杯ついてた」と述べる行為は、そのお店が不正請求するようなお店だと述べているに等しく、お店の社会的評価を害しますので、SNSで投稿した場合、公然と事実を摘示して人の名誉を毀損したといえると考えます」
● 民事上の責任は?
民事上の責任は生じるでしょうか? 現在、客はアカウントを削除し、投稿も消えています。それでも、賠償責任は生じてしまうのでしょうか。 「損害の立証も簡単でなく請求が難しいですが、客の違法な投稿によりお店に損害が発生しているのであれば、投稿者の賠償責任はあると考えます。 アカウントを削除し投稿が消えれば、損害が大きくならない可能性はありますが、それでも、いったんお店の信用・名誉を侵害して損害を発生させた事実が消えるわけではありません」 お酒も過ぎるとトラブルに発展してしまいます。冨本弁護士は、「過度の飲酒で事件を起こし逮捕・勾留された方々もいらっしゃいます。ほどほどにしましょう」と話しています。 【取材協力弁護士】 冨本 和男(とみもと かずお)弁護士 債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。 事務所名 :法律事務所あすか 事務所URL:https://www.aska-law.jp/