知人は「保険がきくから」と美容のために皮膚科で「ヒルドイド」を処方してもらっています。問題はないのでしょうか?
治療のために皮膚科を受診して、薬の処方を受けている人もいるでしょう。しかし、美容目的で保険診療を受けることについては、倫理的、法的の両面から慎重になる必要があります。 本記事では、美容目的で保険診療を受け、ヒルドイドを処方してもらうことについての問題点についてまとめました。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
美容目的でのヒルドイド使用の問題点
ヒルドイドは、血行促進や皮膚の保湿、柔軟化などの効果がある外用薬です。ヒルドイドは、おもに以下のような症状に対して処方されます。 ●皮脂欠乏症 ●アトピー性皮膚炎 ●進行性指掌角皮症 ●凍瘡 ●肥厚性瘢痕、ケロイドの治療と予防 など しかし、ヒルドイドは高い保湿効果があることからSNSなどで評判が広まり、本来の医療目的ではなく、美容目的で皮膚科を受診して処方を受ける人が増加したことが問題となっています。
美容目的でのヒルドイド使用の問題点
医療機関で受ける診療には、健康保険が適用される診療と、それ以外の自由診療があります(混合診療が認められるケースあり)。健康保険が適用される場合、患者は費用の一部を負担し、残りは保険者(国や健康保険組合など)が負担します。一方、自由診療は保険適用外となり、患者が全額を負担するものです。 健康保険が適用されるために「治療を要する病気やけがである」「国が保険診療として認めている治療法である」場合であることが条件として求められるでしょう。 保険診療は必要な医療を受けるためのシステムです。美容を目的としたヒルドイドの使用は、本来の目的から外れていることから、保険制度の悪用と医療費の増加につながる可能性があるといえるでしょう。 必要性の低い診療や処方が増えると、その分、医療的な処置を必要とする患者の診療機会が減ることが考えられるため、適切な医療制度の利用が求められています。 また、ヒルドイドは安全性が高いとされていますが、まれに皮膚炎やかゆみ、発赤や刺激感といった副作用が起きるリスクも報告されています。医学的な治療が不要な場合、あえて副作用のリスクがある薬を使用する必要はないといえるでしょう。 ヒルドイドはあくまで治療を目的とした医薬品であり、美容目的で製造されたものではないため、使用することによりかえって肌に悪影響が出るかもしれません。