アメリカ人でも仕事と私生活の両立は難しい?…よりよい「ワーク・ライフ・バランス」を実現する15の習慣
アメリカに「五月病」にあたる言葉はないが…
今春入社した会社で、また人事異動などで新たな職場環境に馴染めず、やる気が出なかったり体調が悪くなったり……。ゴールデンウィーク過ぎくらいから聞こえてくる「五月病」。アメリカでは、採用はポジションに空きができ次第で入社の時期はバラバラで、大掛かりな入社式もないため聞かない言葉だ。 とは言え、英語でもBurnout(燃え尽き症候群)やWorkaholic(ワーカホリック、仕事中毒)という言葉はよく耳にする。アメリカ人もタフなように見えて中には働き過ぎや理想と現実との乖離、職場環境に馴染めないなどの理由でストレスを抱え、次第に心身の健康を損なっていく人がいる。 【写真】人事評価で「上位5%」に入った人たちの働き方「驚きの共通点」 仕事と私生活との境界線が曖昧になったとこぼす人も、コロナ禍以降に在宅勤務が始まり増えたようだ。 米世論調査企業Gallup(ギャラップ)の調査(2022年)をもとにしたCNBCのレポートでは、現代人の60%が職場で孤立し、アメリカの労働者の半数が日常的に仕事でストレスを抱え、41%が不安を感じているという。 別の調査をもとにしたBBCの報道でも、対象者4000人のうち63%が給料や福利厚生よりも重視しているものとして、「良好なワーク・ライフ・バランス(Work-Life Balance)」と答えたことがわかっている。 日本でも近年聞くようになった言葉だ。忙しい現代社会においてどのような仕事も多少のストレスがあるのはしょうがないとしても、心が病むほどの強いストレスは害悪でしかない。ストレスを最小限に抑える方法としてワーク・ライフ・バランスを良好に保つ重要性が昨今、世界中で叫ばれているのだ。
「ワーク・ライフ・バランス」とは何か
そもそもワーク・ライフ・バランスとは何か。日本語では、内閣府の資料で「仕事と生活の調和」と紹介されている。 前述のBBCによれば、ワーク・ライフ・バランスとは20世紀初頭に1日8時間労働の概念が採用され始めたころにできた考えなのだとか。個人主義だと言われる欧米人であるが、それでも一部の人にとっては仕事とプライベートの境界線が曖昧になっているという。 米ビジネス誌のフォーブスにはこのような趣旨の内容が書かれている。 「ワーク・ライフ・バランスは何十年にもわたって熱く議論されてきたテーマである。会議が一日中続くような時間の使い方や、テクノロジーの発展による常に繋がる状態、常時仕事ができる態勢への期待が、プレッシャー、ストレス、燃え尽き症候群を引き起こす原因になっている」 英ケンブリッジ辞書を引くと「仕事に費やす時間の量と、家族や好きなことに費やす時間の量との対比」とある一方、フォーブス誌の別の記事にはこのように書かれている。 「ワーク・ライフ・バランスについて、仕事と仕事以外の私生活の時間をイコールにするという古い考えのことだと未だに誤解されている向きがある。そうではなくて、正しくは仕事と私生活両方で充足感を得ること、それこそが健康的なワーク・ライフ・バランスである」 先のBBCには、健康的なワーク・ライフ・バランスを追求するためには必要であれば退職や転職も辞さないとある。ごもっともだが、住宅ローンを抱えていたり家庭や子を持つ人にとって、なかなかそうする訳にもいかない事情はある。 アメリカの現代人も多くの人が健康的なワーク・ライフ・バランスを追求するなか、その達成は必ずしも簡単ではないようだ。