【玉田圭司×名良橋晃|元日本代表が語り合う高校サッカー】昌平のインハイ優勝につながった“プライドの一戦”。魂の喝は「こういうサッカーに負けるのが一番嫌いだ」(前編)
スタッフからのアドバイスは「プレミアと県予選は別物だぞ」
名良橋 そして監督就任後いきなりインターハイ優勝、素晴らしい! 僕も準々決勝や準決勝、決勝など複数の試合を見させてもらいましたが、監督としてはどんな大会だったか、振り返ってもらえますか? 玉田 本大会の前にまず県予選からいろいろな出来事があった大会でした。高円宮杯プレミアリーグEAST(以後、通称のプレミアで表記)を数試合戦ってから、インターハイ県予選に臨みましたが、「プレミアと県予選は別物だぞ」とスタッフから言われていて。 名良橋 それはどういう意味で? 玉田 プレミアだったら、対等に戦う。埼玉県予選だったら、昌平は相手から格上と見られているから、ややこしい対策をしてくるなかで、勝つのは簡単ではないと。そうアドバイスされても、僕がプレーするわけではないので緊張しなかったんですけど、「どういう感じかなぁ」と思っていたら、県予選初戦の西武文理戦でまずPKで失点したんですよ。 名良橋 いきなり? 玉田 はい、前半の5分くらいですね。「こういうことかぁ」と思いましたよ。でも、事前に「何があっても慌てるな」と選手に話していたので、彼らは実際に焦らず自分たちのペースでサッカーをしてくれました。結果的には4-1で勝利できて、その後も大差をつけて順調に勝ち進めたので、失点でチームを目覚めさせてくれた初戦は大きかったですね。 名良橋 それがインターハイの優勝にもつながったと。 玉田 いくつかある優勝の要因のひとつとして、そう思いますね。あとは本大会1回戦の尽誠学園戦。 名良橋 2-1で勝利したとはいえ、苦しみましたね。 玉田 そうですね。尽誠学園をあまりスカウティングできず、展開を少し読みづらく、自分たちも良いサッカーができなくて。全国が簡単ではないと痛感しながらも、勝利を掴めたのは大きかったです。 名良橋 県予選と本大会の初戦で勝ち切ったことが、インターハイ優勝につながったと。 玉田 はい、どちらも初戦を経て修正もできたので、すごく大きな一戦でした。