眠れなかった日をリカバリするには? 「1週間単位で睡眠時間を管理」する方法
どこまでが遺伝の影響なのか
2017年の論文にて、中途覚醒にかかわる遺伝子について発表されていました。また、睡眠ホルモンを形成する脳内物質であるセロトニンが分泌されやすいかどうか、光にどう反応するかなども、遺伝子による影響を受けるこ とがわかっています。 眠れない原因がわかると、それに応じた対策をとれるので、私は睡眠コンサルでサポートする際にも遺伝子検査(唾液を採取することで生まれ持った体質の傾向を知ることができるもの。すべての不眠の原因がわかるものではありません)を導入しています。 私自身も遺伝子検査を受けたところ、セロトニンの合成があまり得意ではないことがわかりました。実際、日照時間の短い冬や雨の日などには調子がよくないことが多く、それがずっと気になっていたのです。 原因がわかった今は、セロトニンを分泌できるように地下鉄の駅を1駅~2駅余分に歩いたり、雨の日でも光を浴びながら歩けるようにビニール傘を持ち歩くなど、対策をとるようになりました。 ●「夜型・朝型」の半分は遺伝子の影響 いわゆる「夜型か朝型か」という部分は、遺伝的な体内時計の影響が45%くらいあると言われています。そこに生活習慣からの影響がプラスされて傾向が決まります。 「朝がものすごく苦手」というタイプならば、朝活が流行っているからといって無理に早起きすることはありません。体質に合わないことをすると、体内時計が乱れて睡眠の質が下がってしまうこともあるからです。 ネット上でも、自分の体内時計のパターンがわかる「クロノタイプ診断」というテストができるので、気になる場合は一度調べてみるといいでしょう。
眠れなかった日のリカバリの仕方
あまり眠れない日があっても、翌日しっかり眠れば、だいぶ回復できるのは確かです。そこに頼りすぎて、睡眠のコントロールがおろそかになるのは問題ですが、1週間単位で見て、だいたい足並みがそろっていればよしとしましょう。 「足並みをそろえる」と言えば、「何時間眠るか」という部分だけでなく、起床時間や就寝時間もできるだけ固定しているのが望ましいです。そのほうが体内時計への影響が少なく、体のためにいいからです。出社時間が決まっている人は、起床時間もだいたい決まっていると思います。 ●1週間の仕事・スケジュール・睡眠傾向をメモ 問題は就寝時間です。忙しくて残業や出張が多いと、どうしても寝る時間が不規則になりがちですよね。そのような場合は、1週間のスケジュールを手帳で確認しながら、ざっくりと対策を考えてみてください。 そうすれば、「就寝時間が遅くなりそうな日をあらかじめ把握して、翌日は早く帰宅して、いつもの時間に眠れるようにスケジュールを組む」という調整もできます。 たとえば、 「〇曜日は、残業で帰宅が遅くなる」 「〇曜日は、子どもの寝かしつけをする日だから早く帰宅する」 「毎週月曜日の午前中に部の会議があり、そのことを考えて日曜の夜は寝つきが悪い」 「週の後半になると、残業が増えて帰宅時間が遅くなる」 「大きい会議の前日は、準備のために夜寝るのが遅くなる」 「飲み会があった次の日は、寝起きが悪い」 などと。 そういった自分の傾向がわかると、対策をとりやすくなります。たとえば、「今週はちょっとバタバタして全体的に睡眠時間が短い」とわかったら、「翌週は出張がないから、毎日仕事を早めに切り上げて早めに寝よう」とマネジメントできるわけです。