正月に高視聴率をマークする「格付けチェック」「駅伝」 一方でなぜ、「おせち番組」は消えたのか
おせち番組が廃れたわけ
今年の正月はおせち番組と呼べるものがあまりない。どうして、おせち番組は減ってしまったのか。一方で企業が1社提供するTBS「パナソニック ドラマシアター」や同「日立 世界・ふしぎ発見!」も消えた。その理由を深掘りしたい。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】 【写真を見る】ポーカーフェイスも一流? 海外の競技ポーカー大会でたびたび姿が目撃されているGACKT、実際の姿 ***
3が日には特別番組が並んだ。しかし、おせち番組はあまりなく、通常番組の拡大版や旧作連続ドラマの集中放送が目立った。 おせち番組とは、新春色に満ちた特番。男性司会者は羽織袴、女性司会者は着物を着ることが多い。ゲストは豪華でセットもきらびやか。ほぼ全編が笑いと感動に満ち、暗い場面は欠片もない。 最後の大型おせち番組はフジテレビ「新春かくし芸大会」(1964~2010年)。港浩一社長(72)もディレクターの1人だった時期がある。SMAPやとんねるずなど時の人気者が出演し、誰の目にも高額だと分かる制作費がかけられていた。3が日はテレビを観ている人が普段より多く、CMの料金が高いため、高額の制作費も出せるのだ。 この番組を企画したのは元フジ社員の故・すぎやまこういち氏。コンセプトは「歌手や俳優が普段は見せない別ジャンルの芸を見せる」。歌手がミニドラマを演じ、俳優が歌うということであり、昭和期としては画期的な発想だった。ちなみに、すぎやま氏はRPGゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズの音楽をつくった人である。 この番組は1980年の元日午後7時から同10時までの放送で48.6%という驚異的な世帯視聴率を記録する(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。これが番組最高記録。栄華はずっと続くかと思われた。 しかし、1994年に世帯視聴率が20%を割り、19.4%にとどまると、二度と20%台を獲れなかった。番組が終了する前年の2009年には8.6%と大惨敗。最後の放送となった2010年も9.2%と1桁にとどまる。打ち切りはやむを得なかった。 「かくし芸大会」の時代が終わった理由はいくつか考えられる。まずタレントたちの芸に目新しさが感じられなくなった。洋舞、マジック、アクション……。パターン化した。またタレントたちの芸は大抵、成功するので、意外性がなく、マンネリ化した。