能登半島地震からの復興を目指す七尾、輪島、珠洲の道の駅を巡る
七尾市は「能登の玄関口」と呼ばれる。七尾湾を目の前にして立つ道の駅能登食祭市場は、1991年に地元有志らによって開業した。「七尾フィッシャーマンズ・ワーフ」の愛称どおり、海の幸をはじめ能登のおいしいものがたくさん集まっている。今年の元日に発生した能登半島地震で液状化や地割れなどの被害を受けたが、復旧工事を進めて5月18日に一部で営業を再開。現在は飲食店2軒を含む17店が仮営業している。 人気の浜焼きは外のテントで営業中。能登で獲れた新鮮なイカや貝、一夜干しなどの魚介類を、能登産の七輪を使って炭火で焼く。潮風を感じながらの海鮮バーベキューの味は格別だ。ほかにも焼き魚や干物、揚げカマボコ、ジェラートなどの店舗が入っており、購入した商品を館内で食べられるスペースもある。能登の伝統的な発酵調味料いしるや、七尾特産のなまこ商品、名物のみそまんじゅうなども土産におすすめだ。 建物横の桟橋から発着する遊覧船も運航を再開している。七尾湾の波は穏やかで、爽快で心地よい船旅が楽しめる。取材に訪れた日は日曜で、多くの観光客の姿が見られた。「にぎわいがあると、やはりうれしい。ぜひ七尾に来てほしい」と竹一焼魚店の角間裕美さん。道の駅副駅長の吉田悟史さんも「早く元の能登食祭市場に戻れるよう、皆で頑張っています。8月からは営業時間も少し長くなる予定です」と意気込む。
廃線後の駅跡地にできた道の駅
七尾からのと里山海道を通り、奥能登の輪島へ。輪島は2001年にのと鉄道七尾線の穴水―輪島駅間が廃線になった後、輪島駅の跡地に誕生した道の駅で、「ふらっと訪ー夢(ほーむ)」の愛称を持つ。建物は地場産の集成材を利用し、内部の柱などは拭き漆仕上げ。切妻屋根と格子に輪島らしさが漂う。ここも地震の影響で休業したが、3月25日に曜日と時間を限定して営業を始めた。4月23日からは時間を短縮して毎日営業している。 土産店「A STORE WAJIMA」では、輪島塗をはじめ、能登の食卓に欠かせないいしる、海藻類、天然塩、能登の地酒やワイン、名物の塩せんべいなどを販売している。能登の里山里海を感じることができるアンテナショップだ。喫茶店やカレー店など飲食店も3軒入っており、のと鉄道の廃線後も市内外を結ぶバスターミナルとして機能している。地震からの復興が進めば、以前のように地元の人々が行き交う場所に戻っていくことだろう。