家政婦訴訟で浮き彫り「労基法なき職場」の過酷、自民党総裁選でも議論浮上した「働き方改革」否定の禍根
■解雇規制緩和とセットで甚大な萎縮効果 こうした労働時間規制の緩和と、小泉氏が労働市場改革の本丸だと力を込めた解雇規制の緩和がセットになると、労働者への萎縮効果は計り知れない。 労働者への解雇通告が日常的な一部の外資系企業では、たとえ上司が残業や休日出勤はしっかりと申告するように言ったとしても、それで低評価を受けて解雇されてはたまらないと、みな当たり前のように長時間労働かつサービス残業をしているのが常態だという。
労基法は労働条件に関する「最低基準」を定めた法律だ。だからこそ民法上の契約自由の原則が修正され、たとえ労働者が同意のうえでその労働条件を受け入れたとしても無効となる。最低基準はやはり、個人の意思で適用除外されるものではなく、「一元的な」制限によって定められるべきではないだろうか。
風間 直樹 :東洋経済コラムニスト