年金受給者も「確定申告」した方がいい?ケースごとに社労士が解説
年金を受給し始めたら気になることの1つが確定申告です。会社に勤めているときは年末調整をしていましたが、年金を受給すると確定申告しないといけないのでしょうか。 ◆【写真】年金受給者の「確定申告不要制度」を解説 本記事では、年金受給者の確定申告について解説します。 年明けに迫る「確定申告」をした方がいいケースも紹介しますので、年金を受け取り始めた人は確認しておきましょう。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
年金受給者は原則確定申告が不要
年金受給者の利便性を高めるために、「確定申告不要制度」が設けられています。 収入が年金だけの場合、多くの年金受給者が該当するため確定申告は原則として不要です。 ●確定申告不要制度 確定申告不要制度に該当するのは次の条件を満たす人です。 ・公的年金等の収入金額が400万円以下 ・公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下 公的年金やiDeCo(個人型確定拠出年金)など、「公的年金等控除」の対象となる収入が400万円以下で、年金以外の収入が20万円以下ならば原則確定申告は不要です。 年金生活者の多くが該当します。 ●年金収入に対する所得控除 確定申告が不要と聞いても、「申告をしないと所得控除が受けられないのではないか」という疑問を感じる人もいるでしょう。 しかし、基本的には日本年金機構など年金を支払う機関が、次の所得控除を計算してくれているので安心してください。 ・基礎控除(48万円) ・公的年金等控除(※) ・配偶者控除や扶養控除、障害者控除など ・社会保険料控除 ※65歳未満で年金収入130万円未満の人は60万円、65歳以上で年金収入330万円未満の人は110万円です。 2か月に1回支給される年金からは所得税が源泉徴収されますが、上記の所得控除を計算して所得税を算出しています。 基礎控除と公的年金等控除については、年金受給者全員が対象となり、65歳未満の人は「年金収入108万円」まで、65歳以上の人は「年金収入158万円」までは源泉徴収されません。 また、事前に「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出していれば、配偶者控除や扶養控除、障害者控除などを計算してくれます。 社会保険料控除については、年金から社会保険料が天引きされている人が対象です。 65歳以降、介護保険料や国民健康保険料、後期高齢者医療保険料は原則年金から天引き(特別徴収)されます。 ここまで、確定申告不要制度によって原則確定申告が必要ないことについて解説してきました。 次章では、確定申告しなければいけないケースと確定申告した方がいいケースを紹介します。