ツレヅレハナコさんの「おいしいもの好き」「人に何かをおすすめしたい欲」を極めた半生【お宅訪問写真多数】
今回のゲストは、文筆家のツレヅレハナコさんです。ツレヅレさんは、会社員時代から編集者として数多くのレシピ本を手掛けつつ、ブログやSNSで食べ歩きの情報を発信してきました。それが人気を集め、フリーランスになってからは自身のレシピ本やエッセイを20冊近く出版。最近では、食まわりのプロデュースやオリジナルアイテムの開発なども行っています。 前半では、おいしいもの好きなツレヅレさんが育まれた半生と、自分が出すレシピ本へのこだわり、40代後半になって迎えた食生活の変化について話を聞きます。“自分のアイデアが生きるヒントになればいい”と願うツレヅレさんの考え方は、たくさんの人に愛されるレシピの素になっています。(この記事は全2回の第1回目です)
本に書かれたオムレツに憧れ、お小遣いで材料を買って再現。「食べたいものは作れる」と、自然と料理するように
ツレヅレさんは東京都中野区生まれ。父親が海外に赴任することが多く、幼少期から海外によく行っていました。現地でおいしいものを食べるのがツレヅレ家の家族旅行でした。 「食べることが大好きな家族でした。両親がアジアが好きだったこともあって、アジアに行くことが多かったと思います。今でも覚えているのが、父と台湾の村みたいな場所に船で行って、大きなボウルに入った茹でたてのエビをひたすら食べたこと。メキシコでサボテンを食べたこともあります。フォーマルな場所というより、短パンとビーサンで行けるような場所がほとんど。スパイスやハーブも大好きになりました」
両親が共働きだったので、ツレヅレさんが家で料理することもありました。火を使わないレンジを使って、好きだった卵料理に挑戦していたそう。『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』(石井好子著/河出文庫)が好きで、その中に登場したオムレツに憧れました。 「母親に“オムレツを食べてみたい”と言ったら“いつも食べてるでしょ”と言われて(笑)。たぶんお弁当の卵焼きのことなんですよね。何か違うなと思って、自分のお小遣いでバターを買って作りました。他にも、ジェノベーゼやクミン、家の近くのスーパーに売ってないものを別のスーパーまで探しに行ったこともありました。“食べたいものは作れる”と知り、自然と自分で料理をするようになったと思います」