決して簡単ではない“番手捲り”での優勝 初タイトルの北井佑季が見せた驚異的パフォーマンス/高松宮記念杯競輪・決勝
現役時代はKEIRINグランプリを3度制覇、トップ選手として名を馳せ、現在は評論家として活躍する競輪界のレジェンド・山田裕仁さんが岸和田競輪場で開催された「第75回高松宮記念杯競輪(GI)」を振り返ります。 2024年6月16日(日)岸和田12R 第75回高松宮記念杯競輪(GI・最終日)決勝 ※左から車番、選手名、期別、府県、年齢 ①南修二(88期=大阪・42歳) ②新山響平(107期=青森・30歳) ③郡司浩平(99期=神奈川・33歳) ④小林泰正(113期=群馬・29歳) ⑤脇本雄太(94期=福井・35歳) ⑥桑原大志(80期=山口・48歳) ⑦古性優作(100期=大阪・33歳) ⑧和田真久留(99期=神奈川・33歳) ⑨北井佑季(119期=神奈川・34歳) 【初手・並び】 ←③⑨⑧(南関東)②⑥(混成)④(単騎)⑤⑦①(近畿) 【結果】 1着 ⑨北井佑季 2着 ⑧和田真久留 3着 ⑦古性優作
唯一の東西戦、仲間が敵に変わるシビアな戦い
まるで真夏のような暑さとなった、この週末。大阪府の岸和田競輪場では、高松宮記念杯競輪(GI)の決勝戦が行われています。競輪界で唯一の「東西対抗戦」で、選考の段階から東西別で選ばれるのが大きな特徴。ふだんは同地区の仲間としてともに戦っている選手が、このシリーズでは敵となることも少なくありません。意図的に、そういう方向で盛り上がりそうな番組が組まれるというのもあります。 それだけに、同地区ではなく「同県」の繋がりの強さを感じられるのが、この特別競輪の醍醐味。4日目第12レースの白虎賞では、脇本雄太選手(94期=福井・35歳)と古性優作選手(100期=大阪・33歳)の真っ向勝負がファンの注目を集めました。準決勝も通常とは異なり「2着権利」ですから、決勝戦へと駒を進めるためには、よりシビアな走りが要求されてきます。 印象的だったのが、5日目第9レースの東日本準決勝。前日の青龍賞では南関東勢の先頭を任され、上位独占という結果に導いた北井佑季選手(119期=神奈川・34歳)でしたが、ここでは松井宏佑選手(113期=神奈川・31歳)の番手を回ったんですよね。松井選手は赤板(残り2周)過ぎに主導権を奪うと、後続を寄せ付けないスピードで疾走。新田祐大選手(90期=福島・38歳)や眞杉匠選手(113期=栃木・25歳)を封殺しました。 この準決勝は、松井選手の番手から捲った北井選手が1着で勝ち上がり。そして、5日目第11レースの東日本準決勝では、南関東勢の先頭である深谷知広選手(96期=静岡・34歳)が内に包まれて動けなくなるも、自力に切り替えた郡司浩平選手(99期=神奈川・33歳)が捲って抜け出し、和田真久留選手(99期=神奈川・33歳)とのワンツーを決めました。神奈川勢は、これで3名が決勝戦に勝ち上がりです。