自転車競技・史上最強の選手はオランダのラブレイセン、パリの地で日本代表が挑む世界のライバルたち
短距離はオランダ最強時代
パリ五輪が開幕し、自転車競技のトラック種目は日本時間の8月6日の深夜から競技がスタートする。男女チームスプリント、男子チームパシュート。心臓が小さくなるような緊張感が一気に生まれる。4年に一度。楽しみのはずが、来てほしくない感覚にも襲われる時期だ。 2021年に1年延期後に開催された東京五輪の男子チームスプリントはオランダが金メダルを獲得した。東京五輪前のシーズンも席巻していて、何よりハリー・ラブレイセンとジェフリー・ホーフラントの2人は抜きんでていて、ロイ・ファンデンベルグも強靭としか言いようがない。 2019年12月香港のワールドカップ(現在のネイションズカップ)の男子スプリントでラブレイセンが金、ホーフラントが銀、そして深谷知広(35歳・静岡=96期)が銅メダルを手にした。決勝の戦いはレールのない場所を新幹線同士が接触することなく、高速でせめぎ合いながら、完全な調和を持って戦う信じられないほどのレースだった。 スプリントの極致のようなレースで、熱気ムンムンで暑さを感じる場内で、心の底が冷えわたったのを覚えている。深谷はそこに立ち向かっていた。とにかくこの2人は今でも強い。深谷が3-4位決定戦でポーランドのマテウス・ルディクに勝った時は、涙が出た。
オーストラリアに新星が
オーストラリアも自転車強豪国で、短期登録制度で来ていたマシュー・グレーツァーの名前を知っている人も多いだろう。東京五輪を前にして病に襲われ、出場はしたが、期待された結果は残せなかった。「違うマシューがヤバイ」が近年の話。マシュー・リチャードソンという化け物がまたしても現れている。 ラブレイセンに勝てる男。五輪と世界選手権以外の大会では、各国が諸課題を持ち、“ただ優勝だけを目指して”ではない場合がある。ために、結果だけで判断はできないこともある。日本にしてもそうだ。その中でもラブレイセン、リチャードソンに迫っている、また上回ることもあるのが太田海也(24歳・岡山=121期)だ。この人も、化け物。 スプリントでは太田がその耐久力を持って、この2人を倒しにいく。ケイリンではロンドン、東京を連覇したイギリスのジェイソン・ケニーはいないが、太田であり、また中野慎詞(25歳・岩手=121期)が強豪に挑む構図。ラブレイセンもどうしても欲しいタイトルで、あの野獣の叫び声が響くことだろう。イギリスのジャック・カーリンはロックバンドCLASHのメンバーみたいなんだよな…。 東京五輪の勝ち上がりの段階、1回戦で新田祐大(38歳・福島=90期)は1着、ラブレイセンと同じレースを勝って勝ち上がっている。枠順の抽選という“運”の部分も含まれるケイリン。チャンスをものにできるか、が問われる。 チームスプリントはとにかく3人が力を合わせて…。