ウォール街の新時代は前途多難、FRB利下げ開始でも不透明感残る
(ブルームバーグ): 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、ウォール街のトレーダーが長い間待ち望んでいた通り、大幅な利下げに踏み切った。今年の株・債券高を正当化し、金融引き締め政策の時代がようやく逆転し始めたことを示すものだ。
18日の米株式相場は特に景気敏感株を中心に一時急伸し、S&P500種株価指数は一時1%上昇した。債券相場も同様だった。一方で今後の金融緩和観測から暗号資産(仮想通貨)などの投機的資産も政策決定直後に上昇した。
しかし、この日の取引終了までには、より冷静に経済と市場の現実が意識され上昇は失速した。通常はリセッション(景気後退)や危機に対応するための積極的な措置とされる0.5ポイント利下げが決定され、追加利下げも予想されているが、投資環境は以前と比べて明確とは言えない状況となった。
株価はすでに過去最高値付近にあり、経済は勢いをやや失いつつある。また、新型コロナウイルス禍後のインフレで撤回された超低金利が早期に戻ってくるとは限らない。
株式や国債、社債から商品に至るまで、あらゆる主要資産が18日に軒並み値下がりした。下落幅は軽微だったものの、FOMC決定後に各資産が一斉に値下がりする状況は2021年6月以来、見られなかったことだ。
トレーダーにとって特に懸念されたのはパウエル議長の発言で、株・債券相場の反転にタイミングが一致した。議長はFOMCが今後、習慣的に0.5ポイント利下げすると誰も期待すべきではないとし、中立的な金利水準は新型コロナウイルス禍前よりも高い公算が大きいとの見解を示した。
ブラックロックのポートフォリオマネジャー、ジェフリー・ローゼンバーグ氏はブルームバーグテレビジョンの番組で、「重要なのは、0.5ポイントの利下げ実施と、そしてそれが織り込み済みだったことだ」と指摘。「債券市場で高まっていた期待からすると、これはやや失望的なものだ」と付け加えた。