ウォール街の新時代は前途多難、FRB利下げ開始でも不透明感残る
これはFOMCの発表直後の反応を見れば明らかだ。S&P500種は一時的に日中ベースの最高値を更新したが、その後下落。政策変更に最も敏感に反応する米2年国債利回りは、3.54%まで低下したが、結局はより高い水準で18日の取引を終えた。米10年国債利回りも同様だ。
パウエル議長は経済について楽観的でリセッション懸念を一蹴し、市場の期待を和らげた。記者会見で議長は、「緩やかな成長と、インフレが持続的に2%に向かって低下する状況下で労働市場の強さは維持され得る」と当局は確信していると発言。同時に、当局が0.5ポイント利下げを継続するペースだと想定すべきでないとし、すべてはデータの出方次第だと強調した。
債券市場はすでに一連の利下げを織り込んでおり、18日の当局の行動への賭けはすでに大きく積み上がっていた。米2年国債利回りは4月下旬の5%超から既に大きく低下し、数回の利下げを十分に反映した水準となっていた。
シタデル・セキュリティーズの金利取引グローバル責任者マイケル・デパス氏は「ここ6週間ほどの債券市場の動きを考えると、パウエル氏が債券市場よりも『ハト派姿勢を強める』ことは常に困難だっただろう」と述べた。
新型コロナウイルス禍後にインフレ率が急上昇して以来、トレーダーは米金融政策の方向性予測に苦慮している。パウエル議長がデータ次第の姿勢を取ることは、方向転換の後でさえも予測は容易にはならないという意味だ。
FOMC参加者の予測中央値によれば、2025年に1ポイントの追加利下げが予想されている。だが債券トレーダーらは、より積極的なペースを依然として期待している。
ブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントのジャック・マッキンタイア氏は「今後は市場の期待とFRBのせめぎ合いとなり、どちらが正しいかを決めるのはインフレデータではなく雇用データとなるだろう」と述べた。
原題:Wall Street’s New Era Is Off to Rocky Start as Fed Sows Doubts(抜粋)