秋の叙勲に安房から7人(千葉県)
2024年秋の叙勲受章者が、3日付で政府から発表された。全国では3987人(10月25日現在)、県関係では198人が受章する。安房地域からは7人が晴れの栄誉に輝いた。受章者は、旭日小綬章1人、旭日双光章1人、瑞宝小綬章1人、瑞宝双光章3人、瑞宝単光章1人で、それぞれの分野で業務に励み、社会に貢献したことが認められた。受章者は、別表のとおり。
東日本信漁連設立に尽力 水産業振興功労 平島孝一郎氏(75) 鋸南
鋸南町勝山漁業協同組合の組合長になり20年。13都県域の信用漁業協同組合からなる、東日本信用漁業協同組合連合会のトップである経営管理委員会会長も務め、2期目となる。同連合会立ち上げの際には、県信漁連会長として「生き残るためには、考え方も組織も変えていかないといけない」と、設立に向けて尽力した。 父は、同漁協組合長や県漁連会長も務めた孝太郎氏。自身は55歳で同漁協組合長に就任した。「高齢化、温暖化、水揚げ量減少などの影響で、漁業者だけでは食べていけない時代が来ている。第一に情報を先に知り、先行事例があれば研究し、より良い方法を探る必要がある」と考え、全国的にも珍しい漁協直営のダイビングサービスや、食堂経営など多角的な事業を展開。養殖事業も、かつてはブリを主にしていたが、ここ10年はシマアジとタイに切り替えるなど、時代の変化に対応。いけすや養殖船の更新、定置網の設置などにも注力し、地域の漁業者を支えてきた。 受章に「父も私も組織の再建に取り組んできた。これが認めてもらえたのかなと思う。ずっと家を守り、支え続けてくれた妻に感謝したい」と喜びと感謝を語った。
精神保健福祉向上に寄与 保健衛生功労 金井輝氏(81) 鴨川
「職員や家族のバックアップのおかげでこれまでやってこられた。受章をありがたく受け止めている」と思いを語る。 東京慈恵会医科大学医学部を卒業後、同大精神神経科教室に入局。1977年に東条病院精神神経科の医師となり、93年から2021年3月まで、東条メンタルホスピタルの院長を務めた。 安房保健所の嘱託医として、1980年から32年余り、月に1回精神関係の相談ごとに応じてきたほか、県内の精神病院の実地指導医として約20年間、病院を回り、カルテや診察状況など医療体制を確認し指導。社会保険診療報酬支払基金の県内分の審査委員も15年ほど務め、長年にわたり、地域の精神保健福祉の向上に貢献してきた。 現在も、週1回の外来や病棟で患者の診察にあたり、養護老人ホームを運営する社会福祉法人東明会の理事長も務めている。 「今後はさらに高齢化が進み、増え続ける認知症患者を地域でどう支えていくかが課題。初代院長から受け継がれている『地域の人に役立つ病院でありたい』という思いの下、相談ごとに親身に応える姿勢を保ち、次の世代に伝えていきたい」と力を込める。