「どうして読めないの?」「なんで書けないの?」子どもたちを悩ませる学習障害(LD)とは何か
「どうして読めないんだろう?」「なんで書けないんだろう?」と、悩んでいる子はたくさんいます。学習障害(LD)とは、発達障害の一つです。読み書 【続き】学習障害(LD)の子どもが苦手なこと、その兆候とは? きや算数といった、学習の特定の分野で困りごとが起こります。 LDの特性による困りごとは、アプローチのしかたで減らすことができます。勉強がうまくいかないのは、その方法が合っていないからです。つまり、自分自身に合った方法がわかれば、その子の学習・生活面の困りごとはずいぶんと減ります。イラスト図解で基礎からわかるLD入門書『学習障害(LD)がわかる本 気づいて、支えるために』より、連載形式で基礎知識や、困りごとに合わせた工夫を紹介します。 今回は、学習障害(LD)とは何か、について解説。
LD、SLDとはどういうものですか?
「学習障害(LD/SLD)」は、「自閉スペクトラム症(ASD)」、「注意欠如多動症(ADHD)」と同じく発達障害の一つです。 日本では「LD」、または「SLD」と表記される場合がありますが、前者は文部科学省における定義による場合で、後者は医学的な診断名として用いられているものです。一般的に広く使われているのはLDです。 呼び方に違いはありますが、一般的には知的発達の遅れがないにもかかわらず、読み書きや計算、推論など特定の能力の習得や使用に困難がある状態を学習障害、あるいはLDと呼んでいます。 LDがあると学校生活で困りごとに直面しやすくなります。うまくできないことで自己肯定感が下がることもあります。子どもに困りごとが多いときには、早めに気づいて、適切な支援をすることがとても重要です。 ■LDの意味と定義 学習障害は、「LD」または「SLD」と表記されます。LDは、「Learning Disabilities」の頭文字を取ったもので、SLDは「Specific Learning Disorder(限局性学習症)」の頭文字からきています。
LDの原因はなんですか?
LDがなぜ起こるのか、詳しいメカニズムはわかっていません。脳の機能になんらかのかたよりがあるためと考えられています。例えば、読み書きをするだけでも、私たちは複雑なプロセスを経ています。脳の機能にかたよりがあると、そのどこかで不具合が生じます。結果、うまく書けなかったり、読めなかったりするのです。 LDでは知的な遅れがないため、勉強を怠けていると思われることがありますが、それは大きな間違いです。 また、育て方やしつけとはまったく関係なく、保護者の責任ではありません。 ■学習に必要な6つの能力 文部科学省では、以下の6つが学習に必要な基本的な能力としています。 (1)聞く能力 耳から入った音を聞きとり、脳で情報を適切に処理し、理解する (2)読む能力 文字や文章を読みとり、その意味を正しく理解する。また単語を正しく発音する (3)話す能力 自分の意思や感情、考えなどを言葉や文章にして発する (4)書く能力 かなや漢字など文字の形を覚え、正しく書ける、正しい文法で文章を書く (5)計算する能力 数・量の概念や数式などを正しく理解し、計算する (6)推論する能力 算数の文章問題や証明問題、図形問題などを解く能力。また、論理的に考えて結果を予想したり仮説を立てたりする能力