「ライブ×配信」に活路はあるか──“ハコの生態系”を枯らさないための取り組み【#コロナとどう暮らす】
「本業ができるよろこび」を
大規模イベントの自粛要請から1カ月後の3月27日、ライブハウスオーナーやミュージシャンなどが中心となり、文化施設の休業に対して助成金交付を求める署名運動「Save Our Space」を立ち上げた。 5月22日には、演劇・映画の団体と共同で、プロジェクト「We Need Culture」を立ち上げ、政府に要望書を提出した。 要望書では、活動自粛や客席減などによる売り上げ減少・経費増大に対する補填などを目的とする「文化芸術復興基金」の創設を求めている。そのほか、「持続化給付金の継続支給および運用の柔軟化」「雇用調整助成金のスピードアップと適用範囲の拡大」などを要望。また、フリーランスが、働く人を守るための各種制度の対象となっていない点も指摘する。 5月25日に緊急事態宣言が全面解除された。今後は、各自治体の判断に従って、経済活動を段階的に再開していく。ライブハウスは再開がもっとも遅いグループだが、遠からず全国的に休業要請が緩和される見通しだ。 日高さんが聞き取りをしたオーナーたちは、「我慢するしかない」と語ったという。オンライン配信やクラウドファンディング、給付金や融資など、使えるものは全部使って我慢する。一方で、我慢しきれず、閉店するライブハウスもあった。ようやく出口が見えてきたが、「補償なき休業」を余儀なくされたこの3カ月のあいだに、音楽という「生態系」がどのようなダメージを負ったのか、その実態が判明するのはこれからである。 前出の矢口さんは、コロナ対策を十分に行ったうえでの人数限定ライブとオンライン配信を組み合わせたライブイベントに取り組もうと考えている。 「密密にお客さんを入れるわけにはいかないので、どうやって赤字にならないように運営するか、頭を悩ませています。会場側も以前の売り上げを確保したいはずなので。だけど、活動の場や音楽の仕事が失われたままだと、音楽を諦めてしまう人も出てくるかもしれない。本業ができるよろこびって必要だよねって、いつも考えているんです」
長瀬千雅(ながせ・ちか)
1972年、名古屋市生まれ。編集者、ライター。 ※この記事はYahoo!ニュースに寄せられた不安の声をヒント(参考)に作成しました。コメント欄に、さらに知りたいことや専門家に聞いてみたいことなどがあればぜひお書きください。次の記事作成のヒントにさせていただきます。