ウソだろ、「井戸の影」だけからこんな大発見を…?古代人が「地球は丸い」と知っていたワケ
場所によって、重力の大きさは違う
質量をもつ物体にはお互いに引き合う力がはたらきます。この力を万有引力といいます。地球上の物体には、地球の質量による万有引力がはたらいています。 万有引力の大きさは物体の質量の積に比例し、物体間の距離の2乗に反比例します。地球の形は赤道方向に膨らんでいるため、地球上の物体と地球の中心との距離は、北極よりも赤道のほうが大きくなります。そのため、地球上の物体にはたらく万有引力の大きさは、北極よりも赤道のほうが小さくなります。 地球上の物体には遠心力もはたらいています。遠心力は、回転運動している物体に、回転軸に対して外向きにはたらく力です。地球はおよそ24時間で1回転のペースで自転していますので、地球上の物体は自転軸のまわりを回転運動しています。つまり、地球上の物体には、地球の自転による遠心力がはたらいているのです。 遠心力の大きさは、回転半径(自転軸との距離)と回転の角速度(単位時間あたりに回転した角度)の2乗との積に比例します。地球上の物体はどこでも1日に自転軸のまわりを1周しますので、回転の角速度は一定とみなすことができます。 したがって、地球上の物体にはたらく遠心力は、自転軸との距離に比例します。地球上の物体にはたらく遠心力の大きさは、自転軸との距離が大きい赤道で最も大きくなり、自転軸との距離が小さい高緯度で小さくなります。自転軸上にある極では、遠心力ははたらきません。 地球上の物体には、地球の質量による万有引力と地球の自転による遠心力がはたらいています。これらの合力を重力といいます。赤道上では、万有引力と遠心力が逆向きにはたらくため、重力が最も小さくなります。一方、極では、遠心力がはたらかないため、重力は最も強くなります。 重力の大きさは、重力加速度で表すことがあります。重力加速度とは、物体が重力によって落下するときの速度の増加率です。地球上で落下する物体の速度は、およそ9.8m/s増加します。したがって、重力加速度は約9.8m/s2となります。重力の大きさが緯度によって異なるため、重力加速度の大きさも緯度によって異なり、赤道では約9.78m/s2、北極では約9.83m/s2となっています。 * * * 本連載では、人気の地球科学者と地学講師が、「高校地学」の内容と魅力をわかりやすくお伝えしていく。
鎌田 浩毅、蜷川 雅晴