【デーブ大久保コラム】低反発のバットを使用するのはメリットもあるしデメリットもあります
【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】 昨年、打撃チーフコーチとして巨人で1年間指導しました。そのときに導入した練習が「アーリーワーク」。これが悪評だったと私は叩かれているとか?(笑)。その話は置いておいて、下半身がへばってくるだろうというタイミングで、実は業者にお願いして、東京ドームでは飛ぶボールを使っていました。言っておきますが、練習球の話です。 なぜ、そうしたのかというと、ボールが飛ぶことで、力を入れずに気持ちよくスイングができるようになるからです。その効果を狙っていました。また、スイング速度を速くしたい方は、単純に軽いバットを振り続ければ、必然的に速くなります。つまり、体が速いスイングをインプットしていくのです。さらに後々にきれいなスイングを身に付けていくことにもつながっていきます。つまり体のどこにも負荷がかからない状態でバットを振るので、非常にスムーズなバットスイングを身に付けられる可能性は高いのです。その意味では、当たれば飛んでいくバットも同じような効果を生みます。 一方で、高校野球では今年から低反発のバットが採用されて、今年の夏の甲子園は決勝までの全試合で7本しか本塁打が出なかったとか。このバットの導入で、正しいスイングができないと遠くに飛ばすことができない、とも言われていますし、実際に今年の甲子園の本数がそれを示していますよね。 より木製に近いような素材のバットになったらしいですが、実際にそのバットで私が打ってないので、何とも言えませんが、スイートスポットが木製並みに小さければ、高校生以降で野球を続ける選手にとって効果はたくさんあると思います。 まずはやはりインサイドアウトの正しいバットコントロールができていないと打球が飛ばないので、ドアスイングをする打者は減っていくと思います。このスイングが身に付けられれば、大学や社会人に進んでも、打撃面でそう苦労することはないと思われます。そこには正しいスイングを教えられる指導者がいることが大前提ですよ。一方、公立高校などで、なかなか野球専門でない先生が監督になったときなどは、厳しい状況が待っているのではないかと思います。 プロ野球からの視点で言えば、これまでの飛ぶバットを使用し、いわゆる金属打ち、と言われていた打者が少なくなり、スカウトが確かな目で打者を見極めることが可能になっていきます。また、それによりプロに入ってからの指導法も変わっていくと思います。 ただ、まだ導入したばかりですから、今後どういう調査が行われるかで、これから先の動きが変わります。もし、本塁打が少な過ぎて高校野球としての面白みがないとなれば、元に戻す可能性があります。デーブ的には、どっちにしてもメリット&デメリットはありますよ、とだけ言わせていただきます。
週刊ベースボール