性別騒動の台湾女子ボクサーに敗れた相手の“侮辱ジェスチャー”が波紋 敵コーチは「ここにいるべきじゃない」と異論【パリ五輪】
悔しさか、敗北に対する苛立ちか、はたまた別の感情による何か、か。五輪の檜舞台で、ある女子ボクサーが見せたジェスチャーが波紋を呼んでいる。 【画像】エアコンなしの質素なデザイン? パリ五輪選手村の全容をチェック 物議を醸したのは、現地時間8月4日に行われたパリ五輪・女子ボクシング57キロ級準々決勝で、スベトラーナ・スタネバ(ブルガリア)が見せた振る舞いだ。 66キロ級のイマネ・ケリフ(アルジェリア)と共に性別騒動に揺れるリン・ユーチン(台湾)と対峙したスタネバ。序盤から積極果敢に打ちに出た相手のパンチを顔面に被弾するなど苦戦。終盤に反撃に出たが、相手を崩しきれずに0-5の判定負けを喫した。 その試合後だった。リング上で揃って立たされ、勝者がコールされた直後、スタネバはカメラに向かって「ノー、ノー!」と叫びながら「XX」と指でジェスチャー。苛立った表情でリングを降りた彼女が示した「XX」とは、女性の染色体の表記である。真意は不明ながら自らが女性であり、リン・ユーチンが「そうではない」と暗に示したとも考えられる リン・ユーチンは昨年に国際ボクシング協会(IBA)主催の世界選手権で、性別適格性検査で「XY染色体を持っている」と判明。ケリフと共にIBAから女性としての競技参加資格を剥奪されていた。 今大会への参加を巡っては、国際オリンピック連盟(IOC)が医学的にも問題がない、と断定。トーマス・バッハ会長が「女性として疑う余地はない」と声明を発表する異例の事態ともなっていた。 しかし、性別適格性検査で不合格となった選手の参戦に疑問を持つ選手や関係者も少なくない。ゆえに取材エリアに「私はXXの女性としたプレーしない」と書かれた紙を持って現れたとも報じられるスタネバに抗議の意思があったことは想像に難くない。 試合後、米紙『Washington Post』の取材に応じたコーチのボリスラフ・ゲオルギエフ氏は「私は医者ではないからリンが出場すべきかどうかを意見できる立場にない」とした上で、「彼女の振る舞いは今回のトーナメントに出場している全ての女性ボクサーからのメッセージだ。検査でY染色体を持っていることが判明したのなら、ここにいるべきではない」と厳しい言葉を口にしている。 ケリフと共に銅メダル以上を確定させたリン・ユーチン。“逆風”が吹く中で躍進を続ける彼女たちの一挙手一投足には、今後も注目が集まりそうだ。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]