ブラッスリーノットのタップテイクオーバーで代表の植竹大海さんに会った(前編)
その後の苦労話などは後編に譲り、ここはブラッスリーノットのロゴについて言及しておきたい。エゾシカが首元にホップを身につけている。首から胸にかけてもホップをイメージさせるデザインとなっており、シンプルだけどいかにも北海道のビール醸造所らしくて気に入った。
せっかく醸造家とお会いできたのだから、植竹さんが勧めるビールを飲みたい。植竹さんが飲んでほしいと思う順番を聞くと、①フラワー②ワイルドフラワー③リバー④ムーン⑤ケアラシ⑥ソラギワ⑦ヤマサチ⑧ジリ⑨ユキシロだった。取材後、会社に戻って仕事をこなさなくてはならないので、さすがに9種類は飲めない。今年の4月と5月に計2度飲んだことのあるムーン(僕が書いたメモは「クリアな黄金色。口に入れると香り高い爽やかな風味で見た目以上にモルティー。苦みはそこそこ。アルコール度数8・0%」)を除き、飲めるところまで飲んでみよう。
まずは植竹さんが最初に挙げた「フラワー」から。植竹さんにグラスを持ってもらって写真を撮影(冒頭に掲載した写真がそれ)。見た目は薄濁りの黄色でヘイジーぽいが、ベルジャンホワイトだ。「私たちのフラッグシップビール(最も重要な位置付けにあるビール)です」と植竹さん。2022年8月にブラッスリーノットが北海道鶴居村で初めて醸造したのが、このフラワーだという。飲むと香りは少なめで、すっきり系のやさしいビールだ。食中酒に合っていそうだ(隣で飲んでいる客もそう話している)。
「私たちは、突出した個性を出さず、何かの引き立て役となるビールを造るようにしています」と植竹さん。なるほどなるほど。
ベルジャンホワイトだけに小麦(ウィート=wheat)が使われており、小麦粉は(フラワー=flour)なので、発音が同じ花のフラワー(flower)とかけているかと思いきや、植竹さんいわく「私たちの定番ビールは『フラワー(FLOWER)』『バード(BIRD)』『ウインド(WIND)』『ムーン(MOON)』の4種類で、順番に漢字にすると『花鳥風月』になっているんです」。粋ですね。株式会社Knotの前身で、植竹さんの個人事業の屋号「花鳥風月」にちなんでいるそうだが、大自然に囲まれた北海道のブルワリーらしいネーミングでもある。アルコール度数は4・5%。