ブラッスリーノットのタップテイクオーバーで代表の植竹大海さんに会った(前編)
今回は東京出張のタイミングとCBM大手町店でのタップテイクオーバーが重なったことで来店できたという。ブラッスリーノットがあるのは北海道鶴居村。阿寒摩周国立公園と釧路駅の中間地点に位置するのどかな酪農地帯が広がる村だ。近くには鶴のタンチョウの生息地で有名な釧路湿原がある。遠いところからご足労ありがとうございます。
個人的には、長い後ろ髪(いわゆるロン毛)や顔つきが、中央競馬で年度代表馬に輝いたタイキシャトルを世話していた稲葉正次厩務員を想起させることもあって一気にファンになってしまった。
取材前に「ブラッスリーノット(Brasserie Knot)」という名前の由来を想像していた。ブラッスリーとはビストロより大衆的な居酒屋だと思っていたが、ネットで調べると、もともとは「ビール醸造所」のことで、その後にビールを飲ませる店という意味が加わったらしい。その時点でブルワリーにつけてもなんら不思議ではないことがわかった。ノット(Knot)は「結び目」。居酒屋を結ぶ醸造所になるという意味を込めているのだろうか?
「ブラッスリーはビールと食事を楽しむ場所なのでそうした思いも入っていますが、私たちの醸造したビールが主役ではなく、釣りなどのアウトドアや音楽、地域といったさまざまな文化を楽しむための結び目になってほしいという思いを込めて名付けました」と植竹さん。なるほど。
植竹大海さんは埼玉県生まれの39歳。専門学校で微生物や発酵などについて学んだ後、地元のクラフトビール醸造所「コエドブルワリー」(埼玉県川越市)に就職して醸造家の道を歩むことになった。その後、栃木県の「うしとらブルワリー」、北海道の「忽布古丹(ほっぷこたん)醸造」の立ち上げに関わってから、技術をより磨くためにカナダ・トロントの「ゴッドスピードブルワリー」へ。ところがコロナ禍と重なり、8カ月で帰国せざるを得なくなった。そこから「それならば自分でビール醸造所をやろう」と決意してブラッスリーノットを立ち上げたという。