「俺の時間を奪ってる自覚あるの?」夫の態度にうんざりして無視してしまった妻 どっちがモラハラ?
「夫を無視することは、『モラハラ(モラル・ハラスメント)』になりますか?」。そんな質問が弁護士ドットコムに寄せられました。 【画像】マンガで読むモラハラ 相談者によれば、夫に仕事の愚痴をこぼすと「話を聞いてやってる」といい、喧嘩をすれば「俺は悪くない、お前の捉え方が悪い」と。挙句、「俺の時間を奪ってる自覚あるの?」とまで言われてしまう――。 実家に里帰りし、出産していた時にも、夫は女性の親に感謝の気持ちがないどころか、「親が子どもの面倒を見るのは当然だから、俺はお前の親に礼を言う必要はない。むしろ毎週来る俺が感謝されるべき」などと言われたそうです。 結婚して約10年、屁理屈ばかりで話を聞いてくれないどころか、女性を否定するような発言が繰り返される日々に疲れ果て、相談者は数日間、夫を無視してしまいました。しかし、それが「モラハラ」にあたってしまうのかが気になっているようです。 離婚問題に詳しい柳原桑子弁護士に聞きました。
●夫の態度はモラハラ?
――まず、夫の言動は、モラハラにあたるのでしょうか。 モラハラとは、モラルハラスメントの略称で、言葉や態度などによって人格や尊厳を傷つける精神的な暴力、精神的な虐待に相当する行為をいいます。 有形力(物理的な攻撃)を行使して外傷が残ったりする肉体的暴力と違い、言葉や態度等によって行われる精神的暴力は見えづらいものが多く、ひとつの言動を取り上げてずばりこれがモラハラだと指摘するのは容易ではありません。 暴言のような露骨な表現は避け、相手に責任があるようにしたり、相手の判断や選択を否定したり、軽蔑したり、困惑させたりすることをじわじわ繰り返し、相手に罪悪感を与え、自尊心や判断力を失わせ、心身の健康を破壊していく悪質な行為です。 本件の夫の言動は、モラハラに当てはまる要素はありますが、前後の状況にもよるため、断定はできません。 ――では、女性が「数日にわたり夫を無視する行為」はモラハラにあたるのでしょうか。 ご説明の状況のように、夫の言動をふまえて話にならないために無視をしたというのであり、理由もなく相手を困惑させる性質のものでないのなら、モラハラとはいえないでしょう。