真のドロ沼ドラマとはNetflix『阿修羅のごとく』にあり…ここだけは見たほうがいいポイントとは? 考察レビュー
Netflixにて配信中の『阿修羅のごとく』が本当に良かった。お節介おばさんとしては、これから視聴をする人たちに向けて「ここだけは見たほうがいいわよ!」という全7話に落とされていた見どころを紹介したい。今回は「昭和54年の再現性」について書き記す。(文・小林久乃)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】宮沢りえ・尾野真千子・蒼井優・広瀬すずの泥沼展開が凄まじい…貴重な未公開写真はこちら。Netflixシリーズ『阿修羅のごとく』劇中カット一覧
昭和54年の再現性に思わず目を見張る
『阿修羅のごとく』は向田邦子によって脚本が書かれた昭和の名作だ。「え? 向田邦子って誰?」と思う人は、一旦、検索してみよう。これまでに1979年にNHKで連続ドラマ化、2003年には映画化もされている。約46年間に渡って日本人に好まれ続けてきた、滑稽な人間の欲情を面白おかしく表現した物語だ。 “とある日。竹沢家の父に浮気疑惑が浮上して、実家に四姉妹が集まる。長女の綱子(宮沢りえ)は未亡人で活花の師範、次女の巻子(尾野真千子)は結婚して、ふたりの子どもがいる専業主婦。三女の滝子(蒼井優)は独身で図書館秘司書、四女の咲子(広瀬すず)はボクサーと同棲中のフリーター。一見、幸せそうに見える4人それぞれのごく普通の生活ぶりの向こうには、抱えきれない妬み恨み嫉みが渦巻く。” 歴代の作品は知らず、今回のNetflix版が私にとって、初の『阿修羅のごとく』。第1話から目を見張ったのは、物語の舞台である昭和54年の再現性だった。 羅列していくとまずは出演者たちの衣装。令和よりもずっと華やかレトロな印象で、今、着ていてもまったく不自然はない。むしろセンスのいいスタイリングとして、着たいくらいだ。ロケ地の家や商店街も「よくぞ、この雰囲気の残る漂うものを…!」と思うほど、昭和54年が再現されている。インテリアや家電もかすかな記憶で、昔、自宅にもあったことを思い出すレトロアイテムが並んでいる。 中でも印象深かったのは第6話で陣内(藤原季節)の入院する、病院の昭和感。テーブルクロス、椅子、急須と細部までまったくブレがない。商店街の看板やポスターも同じく。