なぜ、サイバーエージェントの広告運用は業界トップなのか? 理由を聞いた
┌────────── 本気で広告効果を最大化しようとするなら、メディアの仕様を確認するのは当然のことです。役員も関心が高いので、経営会議でアルゴリズムの情報共有をしています(蜷川氏) └──────────
オペレーション力 海外も含めた多拠点で700人の専門人材がオペレーション業務をバックアップ
広告運用のオペレーション業務を担当するのは、サイバーエージェント100%子会社のシーエー・アドバンスである。シーエー・アドバンスは、ベトナム、グアム、沖縄、仙台、京都、札幌など各地に拠点があり、約700人が従事している。 オペレーション業務は主に、広告の入稿作業とレポーティングだ。広告クリエイティブの8割は、内製で作成しており、その数は3ヶ月で約10万件にのぼり、レポーティングも月に数10万本以上作成している。 サイバーエージェントでは業務の効率化を図るために、2020年から独自開発でAIを活用した「極予測AI」シリーズを導入している。クリエイティブ制作の他、広告コピーやLPなど、広告運用にかかわるさまざまな業務効率化と成果向上にAIを役立てている。AI活用と現場の効率化、ノウハウの蓄積によって、大量の運用であっても、ミスなく成果が出せる体制が構築されているという。
技術力 生成AIを取り入れることで、生産性が27倍向上
月数万単位の広告クリエイティブの制作を支えているのが、2020年から本格運用を開始している生成AIの「極予測AI」である。 3ヶ月で制作する10万のクリエイティブのうち、9割を極予測AIが作成している。これにより制作できる量が4.5倍になった。 ┌────────── バナーを個人の好き嫌いではなく、広告効果の予測スコアを見て判断できるので、制作効率を上げることができますし、地方の拠点でも作成できます。制作コストはAI活用以前と比較すると、およそ1/3まで下がりました(蜷川氏) └────────── AIを活用したクリエイティブ制作では、新人でも効果の高いクリエイティブを作成できる。経験や知識のあるベテランよりもパフォーマンスが高いことも多い。 なお、極予測AIのクリエイティブは、効率化だけでなくパフォーマンスも高い。同社では、過去のクリエイティブよりも上回る成果を出すことを「当たり」と表現しているが、当たり率が2倍に向上した。 つまり、4.5倍制作件数が増加し、2倍当たるようになっているので9倍効率があがっている。さらに制作コストが1/3まで下がっていることから、生産性が27倍になっていると算出している。 サイバーエージェントは、Thundermark Capital が毎年公表する、「AI Research Ranking 2022」において、日本4位、世界49位にランクインしている。同社はAI研究のリーディングカンパニーでもあるのだ。