GT300で既に2度の入賞。リル・ワドゥーのポテンシャルを相方コッツォリーノも賞賛「我々はまだ彼女の“ベスト”を見ていない」
フランス人女性ドライバーでフェラーリのGTファクトリードライバーでもあるリル・ワドゥーは、PONOS RACINGからスーパーGTのGT300クラスに参戦し、ケイ・コッツォリーノと共にフェラーリ296 GT3をドライブしている。彼らは既に2度の入賞も記録しているが、コッツォリーノはワドゥーのポテンシャルを高く評価している。 【動画】2024 スーパーGT第4戦富士:決勝ハイライト(GT300) 45号車PONOSフェラーリのコッツォリーノ/ワドゥー組は予選でも決勝でも安定してトップ10前後につけており、ここまでの最高位は第3戦鈴鹿の6位。予選最高位は第2戦富士の6番手となっている。そして前半戦を終えてのランキングは13番手だ。 コッツォリーノ曰く、PONOSフェラーリは車両とタイヤとのマッチングが今ひとつであり、それが上位争いを阻んでいるという感覚があると語る。先日の富士戦でもミシュランが新スペックのタイヤを投入したものの、期待していた改善は見られなかったという。ただ、相方であるワドゥのドライビングには賛辞を送る。 「彼女のレベルは最初から非常に高かったです」 「サーキットを学習できているかどうかがとにかく重要ですが、幸いなことにこれまで行ったすべてのサーキットで事前にテストを行なうことができましたし、彼女は素晴らしい仕事をしています」 「また、コンフィデンシャルタイヤ(機密の多い=開発競争のあるタイヤ)は彼女がこれまで使ってきたワンメイクタイヤよりも少し洗練されていますから、タイヤに慣れるよう、彼女が乗る時間を多く取るようにしています」 「いずれにせよ、彼女は文句ひとつ言わず、自分の仕事をしています。チームメイトとして一緒に仕事をしていて素晴らしいと感じますし、良いチームプレイヤーですね」 「でもチームとしては、彼女のポテンシャルをフルに発揮させられるベストなマシンとタイヤを与えられていません。彼女はもっともっと高いレベルでパフォーマンスを発揮できます。我々はまだ彼女のベストを見ていないんです」 そう語ったコッツォリーノ。ワドゥーの長所について尋ねると、次のように付け加えた。 「彼女は十分な走行時間を得られず、何の知識もないまま予選に臨まなければならないレースもありました。ただ、それでも彼女は良いパフォーマンスを見せていました」 「プッシュする必要がある、最大限のアタックが必要だと分かっているとき、彼女はいつもそれを結果に残します。それに彼女はミスをしません。雨の中でのクラッシュ(開幕前の富士テスト)はありましたが、あれは例外的な状況でしたしね」 「そして彼女は今まで一度もペナルティを受けていませんし、接触ひとつありません。相当頭が良いんでしょうね。GT300での経験はまだ少し足りないのかもしれませんが、それでも彼女はいい仕事をしている。今後も彼女と一緒に仕事ができれば嬉しいですね」 PONOS RACINGは今年、昨年まで2台体制だったGAINERの参戦枠を譲り受ける形でスーパーGTに新規参戦を果たした。GAINERはPONOS RACINGのメンテナンスを担当するなど多大な技術サポートをしており、これまで常にピットを隣としてきたが、第4戦では初めてPONOS RACINGとGAINERのガレージが離れた。 コッツォリーノ曰く、チームは現在もGAINERからは大いにサポートを受けている状況だが、チームとしての独立性は高まっているようだ。 「富士スピードウェイの東ゲートを出てすぐのところにファクトリーがあります。これは以前CARGUYのファクトリーだったところで、向かいにはD’stationのファクトリーがあります」 「当初は京都にあるGAINERのファクトリーをシェアしていましたが、今はどんどん自分たちのファクトリーにシフトしています」 「今もGAINERのメカニックに頼っている状況ですし、彼ら無しではここにはいられません。僕たちがエントリーできているのも彼らのおかげですから。お互い素晴らしい関係性を築いていますが、僕たちは自立しつつあります」 「ハーフ・アンド・ハーフというか、ハイブリッド的な状況です。チームスタッフのほとんどがGAINER出身ですが、ここに来るとPONOS RACINGという感じがしますね」 「チームの雰囲気も良いですよ。タイヤ交換もとても速いですし、ミシュランの方々も気付いていると思います!」 「ドライバーとしては全く不満はありません。来年も続けられると嬉しいです」
戎井健一郎, Jamie Klein