王道なのに新鮮だった『涙の女王』、ジャンルを横断する傑作も 2024年韓国ドラマ座談会
要素を詰め込んだ“ミックスジャンル”がトレンドに
――2025年の期待作だとみなさん何がありますか? 荒井:やはりIUさんとピョン・ウソクが共演する『21世紀の大君夫人』は見逃せないですよね! それから昔からずっとカン・ドンウォンが好きなので、久々のドラマ出演かつチョン・ジヒョンと共演する『北極星』が楽しみです。 にこ:分かります! キム・ヒウォン監督ですしね。 荒井:キム・ウンスクさんの次回作『全てが叶うだろう』は、キム・ウビンさんとスジさんが出演しますね。また、この前セットで火事があったようで大丈夫なのかなって思っていますが、ナム・ジュヒョクさんの兵役後復帰作『東宮』も期待しています。 にこ:『東宮』は幽霊とか怪奇的な話ですよね。IUさんは2023年に撮影が終わっていたパク・ボゴムさんとのドラマ『本当にお疲れさまでした』が先に来ますよね。ディズニープラスでキム・スヒョンさんとチョ・ボアさんの『ノックオフ』も。来年はヒョンビンさんとチョン・ウソンさんのドラマもありますよね。チョン・ウソンさんは大変なことが起きていますが……(苦笑)。 荒井:ちょっと厳しいことに(苦笑)。作品は『メイド・イン・コリア』ですね。 にこ:あと、サスペンスとラブロマンスが混ざっている『その電話が鳴るとき』もそうでしたが、ミックスジャンルの作品ってもしかしたら今後増えそうじゃないですか? 韓国ドラマ特有じゃないですかね。たとえば『となりのMr.パーフェクト』とか、たぶんロマンティックコメディというと少し違うじゃないですか。『その電話が鳴るとき』は、サスペンスものでも良い意味での裏切りがありますよね。韓国ドラマって、ジャンルを本当に横断していると思います。 荒井:ジャンルを横断すると言えば、『照明店の客人たち』はご覧になっていますか? ビジュアルもファンタジックで入りはホラーなのかなと思ったら、かなり社会的なテーマが散りばめられていて見事でした。ここ数年、韓国ではドラマにしろ映画にしろオカルト的作品が増えた感じがあるんですが、『照明店の客人たち』はその流れに乗りつつも他にも要素を詰め込んだ作りになっていました。 にこ:でも、ストーリーが全然取っ散らからないんですよね。徐々にピースがはまっていく快感があるし、心を揺さぶられて泣けてしまいます。すごく底力がある。韓国文化に特有な喜怒哀楽の激しさがドラマの中でしっかり表現されるからこそ心をわしづかみされるんですよね。だから韓国ドラマはやめられない! という。 荒井:そう! しかも、わざとらしく感じられないんです。やっぱり一緒に笑って一緒に泣いてしまう。観ているこちらの感情の動かし方っていうんですか。登場人物に感情移入できるのが韓国ドラマの良さですよね。
荒井南