大阪エヴェッサの新戦力、牧隼利が痛恨の連敗も感じたチームプレーの手応え「カルチャーを作っていく過程の1つとして良かった」
「今の大阪は今年から新たなカルチャーを作り上げていく段階」
一緒にチャンピオンズリングを勝ち取ったかつての同僚との対決を楽しんだ牧だが、敵として対峙することで、接戦で勝ち切れる琉球の強さを実感させられた。「僕たちに流れが来そうな時、完全にこちらの流れにさせてもらえなかったです。ジャック(クーリー)のゴール下だったり、隆一さんの一本だったりで嫌な流れを止めることができる。そこは相手が上手だったと思います。相手にして初めて分かりましたけど、ゲームを通して特にゴール下のジャックは本当に強烈だと思いました」 牧は琉球でのリーグ制覇に加え、筑波大でも4年時にMVP受賞の活躍でチームをインカレ優勝に導くなど、キャリアを通して勝つチームに在籍していた。だからこそ、大阪でも勝つチームに必要なモノを伝えられる選手として期待されている部分はある。だが彼は、これまで在籍したチームと大阪では状況が全く違うと冷静に語る。「一つ違うと思うのは高校(福岡大学附属大濠)、大学、キングスと、しっかりとした文化ができていた中に僕は入っていっただけです。これまでの経験は生かしていきますが、今の大阪は今年から藤田さんにヘッドコーチも代わって新たなカルチャーを作り上げていく段階です」 このように牧は、今の大阪はカルチャーの土台を固めていく基礎工事の段階にあると見ている。ただ、それ故にこの試合の戦いぶりには負けた悔しさと共に手応えも得た。「結果は出ませんでしたけど、僕たちはこういったバスケットをやるんだよねという戦い方を今日は見せることができました。長期的に見た中で、カルチャーを作っていく過程の一つとして良かったことだと思います」 そして、大阪のやるべきバスケットをこう表現する。「コーチからドッグファイトをしようと言われています。40分間、みんなで走ってチームでハードにフィジカルに戦い続ける。自分たちよりパワーも能力もある相手に対して、みんなでカバーし合って守る。オフェンスではみんなでボールを回してチームとして打つべきシュートを探していく。このスタイルを続けることで、能力のあるチームに今後、勝っていけると思います」 これで大阪は6勝5敗となったが、勝った相手はすべて勝率5割以下で、逆に敗れた相手は5割以上。対戦相手の地力に左右される結果となっている。ここから貯金を増やしていくには、個の打開力で上回る相手にいかにチームで戦い続けることができるかが重要な要素だ。そして、抜群のバスケットボールIQを持ち、周りを巻き込む術に長けている牧は、大阪のやるべきバスケットボールを遂行していくためのキーマンとなる。
鈴木栄一
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