娘の小学校から「自転車保険に加入を」のプリントが来ました。子ども用自転車は持っていますが、乗ることもなく置きっぱなしです。どうしても加入しなくてはならないのでしょうか?
2015年に兵庫県が初めて加入を義務化した自転車保険は、自転車による重大事故で高額な損害賠償の請求が相次いでいる社会状況などを背景に、今では全国の自治体で加入義務化の広がりを見せています。 本記事では、自転車の利用頻度にかかわらず、所有しているだけで自転車保険に加入しなくてはならないのかについて解説します。 ▼「3人目3万円」に思わぬ落とし穴! 2024年12月に前倒しになった「児童手当拡充」の注意点
自転車事故の発生状況
図表1のグラフ1によると自転車事故の件数自体は近年減少傾向にはあるものの、交通事故件数全体に占める割合は増加傾向にあり、2023年には「自転車が第1当事者または第2当事者となった交通事故(自転車関連事故)」は交通事故件数全体の23.5%と、約4分の1を占めるようになっています。 また、図表1のグラフ2によると同年で自転車乗用中の死傷者数の割合は、20歳未満の若年層と60歳以上の高齢層が、約半数を占めているようです。特に、「14歳以下」と「15~19歳」からなる若年層を合わせた割合は29.7%となり、20~50代の各層と比較しておよそ2倍から5倍と、その割合が高いことが分かります。 図表1
出典)一般社団法人日本損害保険協会 2024年8月版「知っていますか? 自転車の事故~安全な乗り方と事故への備え~」
自転車事故での損害賠償請求事例
自転車事故では被害の大きさによって、加害者が子どもでも、高額な賠償金の支払いを命じられた事例があります。 図表2
(※)判決認容額とは、上記裁判における判決文で加害者が支払いを命じられた金額(金額は概算額)。上記裁判後の上訴などにより、加害者が実際に支払う金額とは異なる可能性がある。 出典)一般社団法人日本損害保険協会 2024年8月版「知っていますか? 自転車の事故 ~安全な乗り方と事故への備え~」 図表2のような高額な賠償請求が起きる可能性に対して、保険で備えるのは有効な手段の一つでしょう。
自転車保険の補償内容
自転車保険の一般的な補償内容は、大きく2つあります。一つは、「自分のための補償(傷害補償)」です。そしてもう一つは、「相手のための補償(個人賠償責任補償)」です。保険の対象となる被保険者は、多くの商品で「個人型」や「家族型」などを選べます。 家族型は一般的に被保険者本人のほか、配偶者など同居している家族、別居している未婚の子どもなども、被保険者の範囲に含まれます。一人ずつ自転車保険に加入するよりも保険料を抑えられる可能性が高いので、家族で自転車に乗る機会がある場合は検討するとよいでしょう。 ■自分のための補償(傷害補償) 傷害補償では、被保険者が交通事故で死亡した場合や、重い後遺障害が残ってしまった場合などに、保険金が支払われます。また、けがで入院や手術をした場合などにも、保険金や給付金が支払われます。 傷害のための補償は自転車搭乗中に限らず、歩行中の交通事故も対象となるのが一般的です。ただし、自転車保険によっては自転車事故に限ったものもありますので、補償範囲の確認が必要です。 ■相手のための補償(個人賠償責任補償) 事故で他人にけがをさせたり他人のものを壊したりしたことにより、損害賠償責任を負った場合に、賠償金などが補償されます。また、交通事故に限らず、日常生活のなかで負った損害賠償責任についても補償されます。