相続対策の定番「毎年110万円の贈与」は時代遅れ…実は〈年間220万円〉まで非課税に?今年からはじまった「生前贈与」の“新常識”【税理士・公認会計士が解説】
相続時精算課税制度の「注意点」
――最後に、相続時精算課税制度で注意しなくてはいけないことを教えてください。 1.相続時精算課税制度を1度選択すると、暦年課税には戻れない 黒「1つ目は、相続時精算課税制度を1度選択すると、暦年課税には戻れないということです。 たとえば相続財産が多く、贈与時から7年以上生きた場合は、暦年贈与で贈与税を払って110万円以上の贈与をしたほうが、贈与税と相続税をトータルで考えたときにお得になることもあります。しかし、あとから暦年贈与にしとけばよかった、と思っても変更はできません。 ――しっかり考えてから切り替えたほうがいいですね。 2.「相続時精算課税制度」で土地などを贈与した場合、「特例」を使えない 黒「もう1つの注意点は、相続時精算課税制度を選択して土地などを贈与した場合、相続税に関する「小規模宅地等の特例」を使うことができない、という点です。 この「小規模宅地等の特例」は、適用されれば相続税評価額が最大80%減になる、かなり節税効果の高い特例です。たとえ相続時精算課税制度を利用して贈与税がかからなかったとしても、小規模宅地等の特例が使えないことで、かえって相続税が高額になる可能性があります。 この選択は判断がなかなか難しいので、税理士などの専門家に相談することをおすすめします」 黒瀧 泰介 税理士法人グランサーズ共同代表/公認会計士・税理士
黒瀧 泰介
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