樋口恵子「えー、89歳でもがんになるの!?」手術前に医者から告げられたのはまさかの…病名は同じでも<手当の処方>は年齢で違うという事実
総務省が公表した資料「統計からみた我が国の高齢者」によると、総人口に占める65歳以上の割合が過去最高の29.1%と推計されるそう。「超高齢化社会」の真っ只中、今年92歳を迎えた評論家・樋口恵子さんは「長生きするなら、幸せの時間も2倍にしましょう!」と明るく語ります。「人生100年時代」を楽しく生き抜くための知恵が詰まった書籍『人生100年時代を豊かに生きる ヨタヘロしても七転び八起き』から、樋口さんの体験談をお届けします。 【写真】追加席が出るほど人気だった「らぷらすフェスタ講演会」で話す樋口さん * * * * * * * ◆えー、89歳でもがんになるの!? 89歳のある日、左乳房にしこりのようなものを発見しました。 皮膚の表面がちょっと硬くなっているんですね。もう少し若い方なら乳がんを心配なさるでしょう。でも、私の年齢では、とっくに卒業したものと思っておりました。 ところが、病院で検査してもらったら、これは確かにがんである、と。驚きました。 「この年でも乳がんになるんですか?」とうかがうと、「100歳でなる方もいます」で、2度びっくり。 進行はおだやかでも、がんはがん。今のうちに手術で取ってしまうのがいちばんだという診断でした。 たとえ小さな乳がんであろうと、場所が場所。手術は部分麻酔というわけにはいきません。 全身麻酔で行うことになりますが、高齢者にとってのネックは、やはり心臓に大きな負担がかかること。人にもよるのでしょうが、危険なく手術を行うためには、3年でも5年でも若いほうがいいのだそうです。
◆唯一自慢の歯に対し、先生は… 若いほうがいい理由は、心臓以外にもありました。 私が、まず医者に言われたこと。それは、なんと「口を開けて歯を見せよ」でした。 私の歯といえば、唯一自慢の歯でございます。「8020(ハチマルニイマル)」、つまり「80歳になっても20本は自分の歯を持とう」という運動がありますが、私、それは見事にクリア。 ですから、てっきり褒めてくれるのかと思いました。 そうしたら、先生がひとり言のように、こうおっしゃるじゃありませんか。 「手術するとしたら、この歯は何本か抜かなければならないかもな……」
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