さらば、愛しき俺たちの「原チャリ」(泣)! 排ガス規制の影響で、ついに盟主ホンダも50cc以下のバイクの生産を終了!!
――原チャリは逆風にさらされていると。 青木 逆風というか......実は環境規制適合へのコストがかさむなどの理由から、2018年にはヤマハのジョグとビーノがホンダからOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受けました。このときも「いよいよ原チャリ絶滅か!?」とファンらは大騒ぎとなりました。 ――つまり、メーカーサイドからすると、販売が低迷する"ガラパゴスバイク"の原チャリに対して排ガス規制への開発費は注げない。仮に規制に対応できたとしても、手頃な価格での発売は難しいと? 青木 ですから、排気量50㏄エンジンを積む原付一種は生産を終了します。ただ、この話は降って湧いたわけではありません。 ――というと? 青木 来年11月に始まる排ガス規制に対応するのは難しいので、22年にAJ(全国オートバイ協同組合連合会)や自工会など業界団体が125㏄以下のバイクの最高出力を従来の50㏄並みに抑えた「新基準原付(新原付)」を政府・与党に提案したのです。 ――ふむふむ。 青木 その結果、警察庁、経済産業省、国土交通省などが中心となって「二輪車車両区分見直しに関する有識者検討会」を定期的に開催。当然、議論も重ねてきたわけで、決して急転直下で原チャリの生産終了が決まったわけではありません。 ――ちなみに警察庁は出力を抑制した125㏄以下のバイクを新原付として、普通免許や原付免許で運転できるよう法整備をする方向で調整しているそうですね? 青木 注意が必要なのは、従来の125㏄以下のバイクを、どれでも原付免許で運転できるようになるという話ではありません。普通免許や原付免許で乗れるのは今後登場する新原付が対象となります。価格面も含め気になるところですが、メーカーからの公式アナウンスは今のところありません。 ――なるほど。 青木 加えて、ほかの交通からの視認性を向上させるため、バイクも昼間走行灯(デイタイムランニングライト)や車幅灯、側方反射器を装着する決まりが来年6月からスタートします。原付一種モデルをこの決まりに対応させるにはコスト面のハードルがあり、現状では先行きを見通せる状況ではありません。