「出世の街」のママ起業家たち ~ 停滞する地方都市の起爆剤になる?
青年期の徳川家康が浜松城を築いて天下統一の足がかりにしたことから、「出世の街」としてアピール中の静岡県浜松市。最近は、ゆるキャラ「出世大名家康くん」も加わって、「出世」というキーワードで街全体を売り出そうとしています。私は、その浜松市で暮らす40代の母親です。小学校と幼稚園に通う2人の娘を育てながら、子育て支援のNPO法人のスタッフとして、出勤と在宅を組み合わせて仕事をしています。 前職は不動産業の事務職でしたが、結婚を機に退社しました。長女が1歳になったころ、子育てしながら働けないかと模索した時期があります。しかし、新しい職場で働くことへの不安や扶養の範囲、娘の保育園入園など気になることがたくさんあり、なかなか踏み出せなかった記憶があります。それから8年、公私ともにいろいろなママたちと関わる機会がある現在、ここ浜松でも、子育てしながら働くこと、自分のやりたいことを実現することに前向きな女性がとても多いことを感じています。 なかでも活発なのが、親子向けイベントやハンドメイドマーケットに出店して、自宅で作ったバッグやアクセサリー、お菓子などを販売しようという動きです。そんなママたちが発信するブログやフェイスブックは、それぞれの活動報告で常ににぎわっており、それをきっかけに「起業」に乗り出す女性も少なくないようです。 そんな女性たちを指して「ママ起業家」という言葉もニュースで見かけるようになりました。東京では「日本ママ起業家大学」という名の起業塾が立ち上がり、今年9月には仙台校もオープンするそうです。私が住む浜松では、「女性の起業」はどうなっているのか。そんな関心から、実際に起業している女性や企業支援をしている行政担当者に話を聞いて、「ママ起業家の実態」について考えてみました。
「ママ起業家」という言葉は「リケジョ」と一緒?
昨年、大きなニュースになった理研の小保方晴子さんが「STAP細胞」の発表をしたころ、理系分野で活躍する女性をさして「リケジョ」という言葉が流行りました。最近の「ママ起業家」という言い方は、その「リケジョ」と同じではないかと指摘する女性起業家がいます。 医療用かつらの販売を中心に看護視点のサービスを展開している佐藤真琴さん。PEERという会社の代表取締役を務めています。内閣府「女性のチャレンジ賞」など数々の受賞歴がある彼女に「ママ起業家」という言葉についてたずねると、「新しいソースが欲しいメディアがカテゴライズのために作った言葉でしょ? 『リケジョ』と一緒」という答えが返ってきたのです。