「出世の街」のママ起業家たち ~ 停滞する地方都市の起爆剤になる?
「自分の好きなものを限られたコミュニティで売ることは、商売だとは思わない」という佐藤さん。「外からの評価をどこにもっていくか、どこを達成点とするか、それは経営者が決めること。私が経営しているPEERは、患者さんと医療関係者に評価されればそれでいい」と、経営者としてのポリシーを語ります。 ビジネスを展開していくうえで必要なのは「日銭でもなんでも“稼ぐ力”とアメーバのような“柔軟性”」と指摘します。「それがなければ、継続は難しい。逆に“稼ぐ力”と“柔軟性”の点で突き抜けたものがある人は、どんな状況でも切り抜ける術を持っていると思う」と、起業支援にも携わっている佐藤さんならではの意見を口にしていました。
「主人の収入があったから、起業に踏み切れた」
ママ起業家というと、子育ての合間の時間を活用した「プチ起業」というイメージが強いかもしれません。しかし、だんだんとステップアップしていく人もいます。自宅でベビーマッサージ教室を開業して3年目の鈴木秋香さんも、そんな一人です。 第1子の出産後、ベビーマッサージ講座に参加した鈴木さんはその魅力を知ると、自分でもっとたくさんの人に広めたいと考えました。そして、2人目の妊娠8か月のとき、ベビーマッサージの資格を取得して開業へと進みました。いまでは、自宅だけでなく、レストランと提携してベビーマッサージ教室を開催するなど、新しい試みにチャレンジしています。「ママ起業家」と呼ばれる女性の王道といえるでしょう。
そんな鈴木さん自身は「ママ起業家」という言葉について、どう思っているのでしょうか。聞いてみると、「あまり意識したことはない」との答え。自然と起業という形を選んだのだから、呼ばれ方など気にしていないということのようです。 「子育て中なら『起業』スタイルがいちばん!」と言い切る鈴木さん。一方で、「主人の収入があったからこそ、開業に踏み切れた」と、ママ起業の一面を明かします。初期投資が低くおさえられる自宅開業ですが、「すぐ黒字になることはまずない」。資金的にも精神的にも、家族の応援は重要だったと話していました。家族のサポートが受けられるのであれば、女性の起業のチャンスは結婚後にあり、と言えるのかもしれません。