総長のビュイックで練習し、運転免許を取得!?|長山先生の「危険予知」よもやま話 第30回
初めて乗ったバイクは1300cc!? しかも鈴鹿サーキット?
長山先生:そうです。二輪車競技の実態を知ってほしいと、鈴鹿サーキットのフルコースでナナハン(公称排気量750ccの大型自動二輪車)を運転する機会が与えられました。 編集部:ナナハンとは懐かしい響きですね。でも、その時代のバイクでは最大の排気量ですよね。広いサーキットなら相当スピードを出すことができたのではないですか? 長山先生:いえいえ。大型二輪の免許は持っていたものの、それまで二輪を運転したことがなかったので、とてもそんな余裕はありませんでした。しかも、ゴーグルもなかったので、涙が出てきて速度は80㎞/h程度しか出せませんでした。 編集部:ゴーグルがなくて涙が出るとは、シールド(風防)がないヘルメットを被っていたのですね。 長山先生:そうです。ジェットタイプのヘルメットで、シールドは付いておらず、とてもスピードを出して楽しむようなことはできませんでしたね。それとは逆に快適性を経験できたのは、日本に逆輸入されたホンダの1300ccバイクに乗ったときです。サーキットのコースではなく、サーキットにある交通教育センターという施設内のコースでしたが、操縦性が高く、とても乗りやすかったです。しかも、冷暖房が付いているのに驚かされたものでした。 編集部:バイクで冷暖房ですか!? クルマと違ってバイクは体がむき出しなので、冷暖房の効果はあるのですか? エンジンを抱えているような感じなので、まだ暖房ならわかりますけど、冷房は想像できませんね。ハンドルや燃料タンク辺りに冷気の拭き出し口でもあるのでしょうか? 長山先生:どのようになっていたかは分かりませんが、どこからか風が吹き付けてくるのを記憶しています。 編集部:そうですか。さすが1300ccの逆輸入車ですね。 長山先生:また、大学のゼミで学生を連れて鈴鹿にあるホンダの工場見学、交通教育センターでの教育の実態を学んだあと、せっかくクルマで来ていることもあって、鈴鹿サーキットの国際レーシングコースをフルコースで体験させてくれる機会もあり、学生たちは大喜びでコースでの運転を体験したものです。 編集部:それは嬉しいですよね。サーキット走行なんて滅多に経験できませんから。嬉々としていつまでも走り続けてしまいそうですね。 長山先生:学生の多くはそう思ったかもしれませんが、鈴鹿のコースは第2コーナーが難関だそうで、「2回目は変に自信を持って事故を起こしやすいから1回だけです」と学生の体験走行は1回で打ち切られました。でも、私だけは2回走ることが許されました。つまり、二輪で1周、四輪で2周と、合わせて3回サーキットを周回する機会を得ることができました。 編集部:実は、私も安全運転講習会で鈴鹿サーキットのフルコースをクルマで走ったことがあります。先導車に続いて2周しましたが、たしかに1コーナーから2コーナーは複合コーナーで、途中からカーブがきつくなり速度調整が難しかった記憶があります。でも、バイクも合わせて3周も走れるなんて、羨ましいですね。 長山先生:そうですね。鈴鹿以外にも富士スピードウェイを走行する機会もありましたけど、本格的なサーキットを走れるのは貴重な経験でした。国際交通安全学会のホンダの関係者の方々は、私に二輪車に対する興味を高める機会として、さらに貴重な経験もさせてくれました。世界的に有名な「マン島TTレース」を視察するように計らってくれたのです。