10・7横アリで日本初開催WBSSを戦う井上尚弥に全試合KO優勝指令!
海外ブックメーカーの優勝予想オッズは井上がダントツの「1.61」倍。続いてバーネット、ロドリゲスが「6.0」倍で続く。パヤノ戦の勝利に至っては「1.03」倍。対してパヤノの勝利は「11.0」倍で賭けが成立しないほどの評価だ。 それでも井上は、「オッズを聞いてびっくりしたけれど、頭の片隅に入れておくくらい。評価に足元をすくわれないように集中したい」と、油断はない。 もはや井上尚哉の戦いは内なる自分との勝負に入っている。 「自分との戦い、いかに集中できるか」 バンタム転向も成功。しかも、その試合をあっという間に終わらせて「もう課題がないんですよ。ああいう勝ち方をしちゃったからね。雑に攻めたことを気をつけるくらい。試合をして悪いところを見つけていくことになる。できることを最大限に集中して、試合で、それを出しきることができるか」と自分に問いかけた。 練習でも新しい取り組みはせずに基礎練習を反復している。つらくてハードなトレーニングだ。だが、世界の強兵が8人も集まるWBSSでは、その課題も見つかってくるのかもしれない。だからこそ熱くなれる。 井上が注目している他のカードは、日本でアドバイスをもらった経験もあるドネアのバンタム出戻り戦だ。この試合も海外オッズは、バーネット有利だが、井上はドネアを推す。 「ドネアが勝つと思う。抽選会で会ったときに、すでに結構、(体重を)絞っていた。肩まわりは、自分より細かった。バンタムに戻したら、キレが戻るかもしれないと見ている」 日本初開催となるWBSSでは演出も、その大会側の基準が採用される。大橋会長が1万7000人収容の横浜アリーナでの開催を本部にリクエストして認められたが、先日、WBSSの大会関係者が6人も来日して、舞台設定や、試合前行事などの細かい打ち合わせを終えた。 井上尚弥いわく、それぞれのコーナーのすぐ下に特別なステージが用意され、入場前に、そこで1分ほどの時間があり、照明も、白と黒のコントラストを基調にしたシンプルなものとか。 「完全にショーですね。プロである以上、そういう特別な演出は楽しみだしわくわくしている」という。 おそらくパヤノは井上の敵ではない。試合の度にバージョンアップしてくる井上を相手にスピードとキャリアだけで12ラウンドを逃げ切るのは無理だろう。大橋会長の指令通りに遅くとも中盤にはKOシーンを作ると見ている。 「決勝でドネア? 今は考えていない。まずは10月」 25歳の落ち着きが怖い。 大橋会長は「歴史に残る一戦になる」と語ったが、この試合は海外にも中継される予定で、日本発のモンスターが世界へ飛び立つタイトルマッチになりそうである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)