科学が教える食品の正しい冷凍と解凍の方法、2年間冷凍庫にあった生肉は食べても大丈夫?
解凍して食べても安全な期間、安全な食品の解凍法、停電時に冷凍品はどれくらいもつのかなども
多くの人にとって、冷凍庫は食べ残しや雑多な食品を保管するブラックホールのような役割を果たしている。食べかけのアイスクリームから感謝祭の残りものまで、あらゆるものが冷凍庫に置かれがちだ――ときには永久に。 ギャラリー:「病気を生む顔」になる食べ物とは 画像5点 冷凍庫は余分な食品を収納するのに便利な場所だが、混乱のもとになりがちで、使い方を誤ると、食中毒の原因にもなる。 例えば、熱々の残りものをそのまま冷凍庫に入れていいのかと気になっている人もいるだろう。また、部分的に結晶化したマフィンはまだ食べても大丈夫かといった疑問もあるだろう。さらに、解凍と再冷凍を何度か繰り返した正体不明のレッドソースはどうするべきかと悩んでいる人もいるはずだ。 冷凍した食品の安全性と冷凍庫の衛生管理について、専門家のアドバイスを見ていこう。
温かい料理は冷ましてから冷凍すべきか?
食品を室温に放置しておくと、病原体の汚染や繁殖のリスクが高まる。安全上の理由から、「食べ残しは2時間以内に片付けるべきです」と食品安全微生物学者のキース・シュナイダー氏は話す。シュナイダー氏は米フロリダ大学で食品科学と栄養学の教授を務めている。 このルールは生肉や魚介類、卵、生鮮食品など、冷蔵または冷凍が必要な食品では特に重要だ。米食品医薬品局(FDA)によれば、これらの食品は「室温に2時間以上、室温が30℃を超えている場合は1時間以上放置」してはいけない(※編注:日本では食品衛生法でそれぞれの保存方法の基準が定められている)。 安全上の観点からは、「温かい料理を冷まさずに、そのまま冷凍庫に入れても問題はない」とFDAの担当者は述べている。 温かい料理をそのまま冷凍庫に入れれば、庫内の温度が上昇する可能性はあるものの、家庭料理を家庭用冷凍庫に入れる場合、「一時的にわずかな影響が生じるだけだ」と米テキサスA&M大学の教授で、食品微生物学と食品安全性を専門とするアレハンドロ・カスティーヨ氏は話す。 さらに安全を期すのであれば、料理が55℃ぐらいに冷めるまで待つか、温かい料理を「適切な通気と放熱ができる、10センチメートル四方くらいの容器に小分けするべきだ」とシュナイダー氏は指摘する。 それでは、冷蔵庫に保存していて、すぐに食べる予定はない残りものの場合は? カスティーヨ氏によれば、長期保存のために冷凍庫に移すのはまったく問題がなく、「むしろ、そうするべきです」 ただし、「冷凍しても、時計の針を戻すことはできません」とシュナイダー氏は警告する。具体的には、日付に注意したい。例えば、賞味期限が4日間で、すでに冷蔵庫で2日間保存した食品は、再解凍で冷蔵庫に戻したときには、あと2日間しかもたない。