3代目スズキ スイフトは先代よりも「さらに欧州車らしくなった」【10年ひと昔の新車】
2010年8月、スズキは3代目となるスイフトを発表した。個性的なインテリアデザインと走りで人気のスイフトは、日本のみならず世界的に評価の高いコンパクトカー。3代目ではどう進化していたのか。ここでは登場後間もなく行われた国内試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年11月号より) 【写真はこちら】先代のイメージを踏襲しながら、より大きく力強いものになった。(全3枚)
スタイリングはあまり変わらないが中身は一新
2004年11月に登場した先代となる2代目スイフトは、ハンドリング性能、運動性能、走りのしっかり感、欧州テイストのスポーティなデザインなどが受けて、6年間で国内累計販売台数30万台を超える大ヒットとなった。先々代つまり初代スイフトは軽自動車をベースにしたモデルだったが、先代モデルで劇的な進化を果たして、一躍人気者となったのだった。 スイフトは日本だけでなく、欧州、インド、中国など世界8拠点で生産される世界戦略車であり、先代スイフトはコンパクトカーの本場欧州でも大成功を収めた。むしろ欧州での人気は日本以上で、世界124カ国で累計180万台が販売されたことからも、スイフトがただ単に欧州テイストを持つだけのモデルでないことがわかる。スイフトが属する欧州Bセグメントは、ポロ、プジョー207、ルノールーテシア(クリオ)、MINIといった強豪がひしめく激戦区で、その中でこれだけの実績をあげたのだから本物ということだろう。 そんなスイフトが3代目にフルモデルチェンジしたのだが、2代目からどう進化したのか気になるところだ。 大きな冒険を避けたのか、スタイリングは先代とよく似ている。スイフトらしい要素を残しながらエモーショナルなものに変更したというが、正直、新旧のデザインの違いはわかりにくい。ただ、ホイールベースは40mm伸ばされ、全長も95mm大きくなっていて、プラットフォーム、ボディ、シャシはすべて新設計されているという。 また、ボディがひと回り大きくなったにもかかわらず、高張力鋼板を多用したことで剛性を上げながら車重は軽くなったのもポイントで、FFモデルはすべて1000kgを切っている。スタイリングはあまり変わらなくとも、その内容は一新されたということだ。 エンジンは先代からの進化版となる1.2Lで、今回新たに可変バルブタイミングVVTを排気側にも備えるなどの変更を受けている。大きく変わったのはCVTで、副変速機を内蔵して広い変速比幅を持つJATCO製となった。すでに日産マーチなどにも採用されている新しいCVTだ。もちろん5速MTも設定される。