3代目スズキ スイフトは先代よりも「さらに欧州車らしくなった」【10年ひと昔の新車】
欧州コンパクトのライバルにとっても大きな脅威になりそう
試乗車はFFのXS、トランスミッションはCVTだった。いずれパワフルなエンジンを搭載する「スイフト スポーツ」が登場するのだろうが、現時点ではもっともスポーティなモデルだ。 走り出してすぐに、その俊足ぶりに驚かされた。アクセルペダルを踏み込むと、パワーがしっかりとついてくるのだ。XSは本来実用的なモデルであるはずなのに、それでも十分にスポーティだ。エンジンを4000rpmも回せば、1.2Lと思えない、たっぷりとしたトルクでぐいぐいと加速していく。 ワインディングを走らせると、そのスポーティさはさらにハッキリしてくる。懐の深いサスペンション、軽量化された高剛性ボディ、可変ギアレシオを持つ電動パワーステアリングがクイックでシャープな走りをもたらしてくれる。 こうなると、パドルシフトのついたCVTが生きてくる。回転が上がった後、少し遅れてトルクがついてくる感じは残るが、パドルシフトで積極的にギアを選ぶとリズミカルな走りを楽しむことができた。燃費だけでなく、走りの良さにもつながるトランスミッションだ。 端的に言って、新型スイフトは先代よりも「さらに欧州車らしくなった」。クルマとしての当たり前の性能をしっかりと作り上げている。とりたててパワフルなエンジンを搭載しているわけではないし、凝ったサスペンションを持つわけでもないのに、しっかりとした走りの質感を実現することに成功しているのだ。これは欧州コンパクトのライバルにとっても大きな脅威となるだろう。 ちなみに、スイフトは世界戦略車であるので、その地域にとって理想的な性能を発揮するように作られる。日本仕様は走りの快適さと燃費性能を重視してCVTが採用されているが、これにより10・15モードで23.0km/Lという良好な燃費をマークしている。(文:Motor Magazine編集部 松本雅弘/写真:原田 淳)
スズキ スイフト XS FF主要諸元
●全長×全幅×全高:3850×1695×1510mm ●ホイールベース:2430mm ●車両重量:990kg ●エンジン:直4DOHC ●排気量:1242cc ●最高出力:67kW(91ps)/6000rpm ●最大トルク:118Nm(12.0kgm)/4800rpm ●トランスミッション:CVT ●駆動方式:FF ●車両価格:147万5250円(2010年当時)
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