佐藤寿人が語るワールドカップ最終予選・バーレーン戦の裏話「芝生の長さが明らかに短くなっていた」
【後半から中継で声が届かなかった理由】 バーレーンのサポーターとすれば、アウェーでオーストラリアに勝っている(1-0)こともあって、日本にも勝てるという思いがあったと思います。ブーイングだけではなく、上田のPKの際にレーザーポインターで妨害する行為もありました。 その行為は決していいことではありませんが、ワールドカップ初出場に向けての強い思いが彼らの行動に表われていたのかなと思います。それくらいの圧力は感じられました。 ちなみにハーフタイムの時に、僕はピッチのサイドを変えるために移動していたんですが、その時に僕もレーザーポインターを浴びせられました。僕を狙ったのかはわからないのですが、そういう行為は確実にありました。 さらに言えば、試合前日にも日本はアウェーの洗礼を浴びています。前日の公式練習で僕がピッチレベルに降りた時に、「ちょっと芝生が深いな」と感じたんです。そして当日に再び降りたら、明らかに短くなっていました。 関係者に聞くと、前日は33ミリだったのが、26ミリまで刈られていたということでした。普通、公式練習は当日と同じ環境でやるものなのですが、芝生の長さを変えることで揺さぶりをかけてきたのではないでしょうか。 結果的に、日本にとっては芝生が短いほうがやりやすかったと思いますが、ボールがどれだけ走るかっていうのは選手たちも前日にかなり確認していたので、当日はちょっと戸惑った部分もあったと思います。 感覚的な影響を一番受けるのは、シュートの場面。打つ時の踏み込み方は、芝生の深さによって変わってくるので、違和感はあったはずです。 僕はこの試合でDAZNのピッチ解説をしていたのですが、ある瞬間から突然、回線の影響でスタジオとのやり取りができなくなってしまいました。それは上田の2点目が入ってからです。 なぜかというと、勝利をあきらめた観客がぞろぞろと帰りはじめたからなんです。おそらく、彼らが一斉に携帯で連絡を取りはじめたんでしょうね。その影響で通信環境が悪くなり、3点目が入った時にはまるで音声が聞こえなくなりました。 中継を見ていた方のなかには、「寿人は途中からしゃべらなくなったな」と思った方もいらっしゃったかもしれないですが、実はそういう舞台裏があったんです。これも、日本が強すぎたことによる弊害だったのかもしれません。気づいたら、満員だったスタンドの観客数が半分以下になっていました。