どの世代のVW「ゴルフ GTI」がお好き? 誕生50周年で明かされる、フォルクスワーゲンがヒット作を連発できたその理由。
なぜフォルクスワーゲン「ゴルフ」は世界的大ヒットモデルになった? 1974年の誕生から50年を迎えた今年、ドイツ本国で開催されたスペシャルイベントに参加したモータージャーナリストの小川フミオが、その理由と歴史を振り返る。 【写真】懐かしい! 歴代VW「ゴルフGTI」の詳細を見る!(全24枚)
なぜゴルフは大ヒット作となったのか?
いま若い人に人気なのが、フォルクスワーゲン・ゴルフ。とりわけ、1983年から91年にかけて生産された2代目「ゴルフII」に好んで乗るひとが少なくないようだ。 そんなことを思い出したのが、2024年6月下旬に、ドイツで開かれた「ゴルフの50周年」イベントに、私は参加したからだ。ブレーメンとドルトムントの中間ぐらいにあるオスナブリュックにあるVWの工場の一部を利用して、初代から現在の8代目にいたるまで、歴代のゴルフがずらり並べられた。 フォルクスワーゲン・クラシックが管理する、30台を超える歴史的ゴルフが、持ち込まれた。今回の展示の特徴は、GTIやR、それにモータースポーツ関連の、スポーツモデルに特化していたことだ。なかでもゴルフIIの存在感が際立っていたように思う。 ゴルフはそもそも、ビートルの後継モデルとして、1970年にフォルクスワーゲン社内で企画がスタート。1974年にゴルフⅠが発表された。ビートルが丸っこいボディだったのに対して、直線基調のゴルフはまったく印象が違う。 かつ、ビートルはリアエンジンの後輪駆動だったが、ゴルフはフロントエンジンの前輪駆動。これも正反対だった。当初、VWの首脳陣は、企画にゴーを出す前に、これでいいのかなあ、とやや懐疑的だったようだが、はたして大ヒット。 続くゴルフIIでも、VWの開発陣は悩んだそうだ。そのときの悩みは、どうしたら初代の成功を引き継ぎ、好調なセールスを維持できるか。ゴルフIからIIにいたるなか、自動車界ではさまざまな変化があった。新技術だったり法規制の強化だったり。 ゴルフIIでは、排ガス規制に対応する触媒、アンチロックブレーキ(ABS)、パワーステアリング、それにモデルバリエーションの追加(4WDやカブリオレや)といった具合だ。はたして、ゴルフIIは大きなヒットを記録した。 成功の理由は、VWの振り返りによると、ボディデザインだったという。ゴルフIのイメージを引き継ぎ、それをモダナイズしたのが市場に受け入れられる要因だったそうだ。 確かに、少し丸みを帯びたボディと、拡大したトラック(トレッド)による踏ん張り感が、ひとクラスかふたクラス、上のクルマみたいだった。その印象は、今回ドイツ・オスナブリュックで2つのモデルを見比べさせてもらったとき、改めて確認できた。でもって、ゴルフIIIより個性がある。