情報BOX:シリアのアサド政権崩壊に対する世界の反応
[8日 ロイター] - シリアの反体制派は8日、アサド大統領を追放し、首都ダマスカスを掌握したと発表した。ロシアメディアによると、アサド大統領と家族はロシアに亡命した。 アサド政権崩壊を受けた各国の指導者・機関の発言は以下の通り。 ◎欧州連合(EU)フォンデアライエン欧州委員長 「残酷なアサド独裁政権は崩壊した。地域におけるこの歴史的な変革は機会をもたらすが、リスクがないわけではない。欧州は国家統一の維持と、全ての少数派を保護するシリア国家の再建を支援する用意がある」 ◎イラン外務省 シリア統一と国家主権を尊重するとし、「軍事紛争の速やかな終結、テロ行為の防止、国民的対話の開始」を声明で求めた。 またイラン政府は、政治的プロセスを実現するための国際的なメカニズムを引き続き支持し、イランとシリアの長期にわたる友好関係は今後も続くとの見通しを示した。 ◎イスラエルのネタニヤフ首相 イランとの主要なつながりであるアサド政権の崩壊は歴史的な日となり、イスラエルが(レバノンの親イラン武装組織)ヒズボラとイランに与えた打撃の直接的な結果だと指摘。さらに「いかなる敵対勢力もわが国の国境に進出することを許さない」とした。 ◎バイデン米大統領 「長年、アサド大統領の主な支援者はイラン、ヒズボラ、ロシアだった。だが、これらの支援は崩壊した。なぜならイラン、ヒズボラ、ロシアが私が大統領に就任した時よりもはるかに弱体化しているからだ」 「米国はシリアにおけるパートナーや利害関係者と協力し、彼らがリスクを管理する機会をつかめるよう支援していく」 ◎トランプ次期米大統領 「アサドは去った。彼は国から逃げた。庇護者であるプーチン大統領のロシアは、もはや彼を守るつもりはなかった」 「ロシアとイランは現在弱体化しているが、その原因はウクライナと経済悪化、そしてイスラエルと同国による戦闘の成功だ」 ◎ロシア外務省 声明で、アサド大統領が平和的な権力移譲を命じた後、退任し国を離れたと明かした。 また、シリアにあるロシアの軍事基地は厳戒態勢に置かれているが、現時点では深刻な脅威はないとし、ロシア政府は全てのシリア反体制派と連絡を取っており、暴力を控えるよう求めていると述べた。 ◎ヨルダンのアブドラ国王 ヨルダンはシリア国民の選択を尊重すると述べた。シリアで混乱を招く可能性のあるいかなる紛争も回避するよう求め、隣国の安全を守る必要性を強調した。 ◎マクロン仏大統領 「ついに野蛮な国家は崩壊した。シリア国民の勇気、忍耐に敬意を表する。この不確実な瞬間に彼らの平和、自由、団結を願う」 「フランスは中東全域の安全保障に引き続き尽力する」 ◎スターマー英首相 「シリア国民はアサド氏の野蛮な政権下で、あまりにも長い間苦しんできた。われわれは彼の退陣を歓迎する」 「われわれの焦点は今、政治的解決を実現し、平和と安定を回復することだ」 「全ての関係者に対し、民間人と少数派を保護し、今後数時間から数日中に必要な援助が届くよう求める」 ◎サウジアラビア政府高官 「われわれはトルコや全ての利害関係者と常に連絡を取っている」とし、シリアの混乱を避けるために可能なことを行う決意があると述べた。 ◎トルコのフィダン外相 シリア国民が自らの国の将来を形作る段階に達しており、希望はあると述べた。 また、テロ組織がこの状況を利用することを許してはならないとし、非合法組織PKK(クルド労働者党)民兵のいかなる拡大も、シリアにおける正当な対抗勢力とは見なされないと警告した。 ◎ショルツ独首相 「アサド氏は国民を残酷に抑圧し、多くの命を奪い、多数の人々をシリアから逃亡させ、その多くがドイツに逃れて来た。シリア国民は恐ろしい苦痛を経験してきた。アサド政権の終焉は朗報だ」 「今重要なのは、シリアで法と秩序が速やかに回復されることだ。全ての宗教グループ、少数派は将来にわたり保護されなければならない」 ◎ゲイル・ペデルセン国連シリア特使 「シリアの歴史において重要な節目だ。シリアは14年近く容赦ない苦痛と言葉に尽くせないほどの喪失に耐えてきた。この暗い章は深い傷跡を残したが、きょう私たちは慎重に、希望を持って新たな章の始まりを待ち望んでいる。それは全てのシリア人にとって平和、和解、尊厳、そして包摂の時代だ」