ゆりやんレトリィバァが語る「『極悪女王』での青春の日々」――自分らしく生きていくことが芸人
――覚醒するシーンの前と後では演技の質が180度変わっていて驚きました。演じる上での気持ちの切り替えはどのように行ったのでしょうか?
ゆりやん:自分もどうすれば良いのか悩んでいたんですよね。そんな時にダンプさんが練習を見にきてくれて「遠慮したらダメだよ。怖くしなきゃダメ」ってこっそり教えてくれたんです。それまで私は人前で結構暴れたりとかしていましたけど、めちゃくちゃやっているように見えて実は遠慮していたり、抑えていた部分もあって。でも撮影が進んでいく中で、皆全力でぶつかり合っているのに、自分が抑えててはいけないなと思うようになりました。それで気持ちを抑えず演じるうちに役と自分が一体化してきて、松本香 さんが覚醒すると同時にダンプさんの気持ちや感情が自分の内から溢れ出てきたんです。殻を破ったかのような感覚でした。
分かっていたはずなんですけど、先日完成品を試写会で観たら「みんな途中からめっちゃ変わってる……!」って驚きました。4話からの血の上り方がそれまでと全然違っていて、やっぱり異様な空気感だったんだなと実感しましたし、それを引き出した監督があらためてすごいなと思いました。
――ダンプ松本に覚醒してからの現場の空気は大丈夫でしたか……?
ゆりやん:覚醒後も現場は荒れることなく良い雰囲気でした。ただ一つ実践したことがあって。私は(唐田)えりかちゃんとめっちゃ仲が良くて、いつも連絡を取り合っているんです。でも作品の中では長与さんとダンプさんが次第に気まずくなっていって、やがていがみあうようになりますよね。ダンプさんからも「プライベートでもしゃべるのやめた方が良いよ」と言われたこともあり、話し合った上で決別するシーンから一切しゃべることをやめたんです。そしたら皆本当は仲良いと分かりつつも、私がいないところで皆が盛り上がってたりすると腹立つようになってきて(笑)。
話すのをやめてから初めて目を合わすシーンがあったんですが、互いにめっちゃ気まずかったんですよね。そうしたら元から本当にそんな関係性だったように思えてきて。そんな状態がしばらく続いていたんですが、最後の髪切りデスマッチの泊まり込み撮影の時に、なかなか息が合わずリハが上手くいかなかったんです。するとえりかが「レトリ、今日ご飯いこ」って声かけてくれて。ご飯行ったら元通りにしゃべれて、私たちやっぱり仲良かったんやなと思い出せました。