フカヒレで満腹になるという口福体験をフカヒレ専門店〈鰭華(きっか)〉で!
茶目っ気あるクリエイティブな一品が、“ひれオ・フィッシュ”。アオザメの肉をフリットして、自家製のブリオッシュ風バンズでサンドした。隠し味にスイートチリソースを加えたタルタルソースを合わせている。バンズのほんのりとした甘みが、アオザメの慎ましやかな上味に奥行きを与えている。
“ふかひれ焼きそば”は、ダイナミックに目の前で作られる。モウカザメの尾ビレの真ん中部分はしっかりとした繊維なので、まさに“そば”のよう。春雨やビーフンを食べているかのような食感で、ありえないくらいの口福。雲丹のペーストと生雲丹の濃厚な味わいに、葱油と四川の花山椒の香りが重なって、これまた箸が進む。青梗菜の茎もしゃきしゃきとしてよい食感。
旨味たっぷりなのが“ふかひれ鍋・⻩ニラ・モヤシ炒め”。モウカザメの尾ビレの真ん中部分と、蝦夷鮑をじっくりと煮込んだ。14時間かけて作った白湯(パイタン)スープを存分に含んだフカヒレと蝦夷鮑は、妙妙たる味わいに仕上がっている。フカヒレのシャキッとした食感と蝦夷鮑の弾力あるテクスチャーのコントラストが出色。別添えで提供される、モヤシと黄ニラの炒め物もまた白眉の味わい。
“ふかひれご飯”が締めの一品。ゼラチン質なモウカザメの尾ビレの端を用いているので、米の穏やかな甘みにぴったり。おかわりもできるので、たくさん食べて! 最後の“デザート”はヨシキリザメの腹ビレをトニックウォーターで戻して加えたマンゴースープ。高級中国料理のデザートでは燕の巣が定番なので、ここでフカヒレを体験できるのはかなり貴重。繊維質なフカヒレのおかげで、マンゴースープのやわらかさと弾力が際立ち、目が覚めるような“甜点(ティエンディエン)”に仕上げられている。
平野さんは2022年にソムリエ資格も取得したという才能あふれる料理人なので、料理とお酒のマリアージュも素晴らしい。 “カン・クレド セラー・クレド 2015”(1280円)はスペイン・カタルーニャの白ワイン。ミネラルなアロマで柑橘系の香りがあるので、小籠包やバーガーをさっぱりとさせる。日本ではなかなか流通していない辛口の紹興酒が、“会稽山 干純18”(1880円)。ドライでありながらも、旨味とコクがしっかりとある。濃厚な煮込み料理にも負けず、ロックで飲めばさらに香りが立って閑雅な味わい。 フカヒレ尽くしというだけでもサプライズなところ、ほかでは味わえないような料理ばかり。席数はかなり限られているし、すぐ予約困難店になりそう!