プラごみを「ものさし」にリサイクル 大阪の商業高校と高等職業技術専門校が共同プロジェクト
大阪府立住吉商業高校(大阪市住之江区)と大阪府立北大阪高等職業技術専門校(大阪府枚方市)は現在、プラスチックごみを価値ある「モノ」にリサイクルする共同プロジェクトに取り組んでいます。どういう取り組みなのか、北大阪技専校を訪れて話を聞きました。
商業高の企画・マーケ力+技専校の技術力
この共同プロジェクトがスタートしたのは、2022年夏。海の近くにあることから、3年前からSDGs(持続可能な開発目標)の14番目「海の豊かさを守ろう」の実現に力を注ぐ住吉商が、海洋プラスチックごみ問題解決に向けてプラごみリサイクルの取り組みを開始。商業高校である同高には、企画・マーケティング力はあっても生産技術はないことから、ものづくりができる連携先を探した結果、北大阪技専校が応じました。 その後、住吉商側で再生品の案の検討や市場調査を行った結果、熱を加えても有害ガスが発生せず、比較的集めやすいペットボトルのキャップを使って、金型が作りやすいなどの観点からプラ製ものさしへ再生することに。デザインは、海にちなんで魚型としました。
共同プロジェクトを通し商品開発への取り組みで学び
キャップは両校で回収し、洗浄・乾燥を経て北大阪技専校へ。同校でキャップを粉砕し、素材として使います。 5月半ばより、同校ではプラ製ものさしの試作を開始しました。訓練生によると、キャップに使われているプラスチック素材は、ポリプロピレンとポリエチレンの2種類あるとのこと。リサイクルに際しては、これらが混在し、かつ比率もわからないため、単一のバージン素材よりも加工の難易度が高いとのことです。 4回にわたる試作の中で、金型の材料や構造の変更といった改善策によって反りや寸法狂いを軽減するなど、次第に品質を高めていきました。
こうした試行錯誤の様子は、住吉商業の生徒たちにも伝達。同高の徳田武蔵教頭は「生徒たちは、この共同プロジェクトを通して商品開発にどう取り組まねばならないかを学びつつあります」と意義を語ります。