解体前の「大阪マルビル」で大阪市消防局が訓練 28日までの15日間
大阪市消防局は14日、今夏から解体予定の大阪マルビル(大阪市北区)の設備を使った消防訓練を開始しました。地震や火災といった大規模災害の発生時に備えて、実際の建物や設備を使った訓練を行うことで、実践力や技術力を高めるのが目的となっており、訓練は28日までの15日間行われます。 【拡大写真】強い冬型で大阪も寒い朝 大阪マルビルの電光掲示板が珍しい「1並び」に
実際に煙や水を使った訓練を実施
14日に行われたのは、非常用エレベーターや排煙設備といった消防用設備の操作研修です。 同日午後2時過ぎ、雨が降りしきる中、ビルの外壁に設置された採水口の操作訓練がスタート。講師役の隊員の方が、他の隊員に採水口の開け方などをレクチャーしていました。
その後、ビル内の1階にある防災センターへ。ここでは消防時に役立つ情報が得られることから、同センターのスタッフの協力を得ながら活動することが求められるそうです。
それから、25階で排煙設備の訓練を行うため、非常用エレベーターで1フロア下の24階へ。そこから非常階段をのぼって25階に入ると、フロア内は訓練用の煙により真っ白で、ほとんど何も見えません。それが、隊員の方が排煙設備を稼働させると、わずか3秒ほどで煙が排出されて視界が一気にクリアに。
30階にある元レストランの厨房での放水訓練では、下から供給される消火用の水を途中の階で加圧するブースターポンプの使用方法などを確認していました。この消防用設備の操作研修は、15日にも行われます。
この他、16日から21日までは、鉄筋コンクリートの床や壁を破壊して救助する手法を学ぶ訓練を、23日から28日までは、高層階で火災が発生したという想定の消火救助訓練を実施。22日には、北区の自衛消防隊が火災の消火や避難誘導などを訓練します。15日間で消防隊からのべ522名、自衛消防隊から約70名が訓練に参加の予定です。
「高層建築物の火災時には、建物に備えられた設備を有効活用して消火活動を実施します」と語るのは、同局広報担当の石川哲平消防司令補。「実際の高層建築物で煙を出したり、放水したり、排煙設備を稼働させたりする訓練はなかなかできません」と今回の訓練の有意義さを強調していました。 (取材・文:具志堅浩二)